■本当の効果は「若返り」?

 本当の効果が「若返り」といわれる理由には、組織の一員であるベルモットが年を取らないということがよく挙げられる。確かに、「幼児化する」というのは若返るという意味にも取れる。このことから本当の目的は若返り、あるいは不老不死ではないかという考察も多い。

 これは不老不死のお守りをもらえる奇祭・儒艮祭りに志保が訪問していることからも有力視されている。

 さらに、組織の古株・ピスコが幼児化した灰原を見て「まさかここまで君が進めていたとは…」と言っていることからも、幼児化は「副作用」ではなく「成功例」の可能性が高い。

 組織のナンバー2であるラムも「この右目の… 時を戻すしかなさそうですねぇ…」「あの薬の効力が… 私の想像通りならの話ですがねぇ…」と話すなど、APTX4869と「若返り」は関係がありそうだ。いずれにしてもこの「幼児化」が組織の目的に関して、大きなカギを握っていることは間違いないだろう。

■APTX4869の解毒剤の試作品は重要なアイテム

 実はAPTX4869を飲んだ者が元の体に戻る方法は2つある。1つ目は灰原が開発した「APTX4869の解毒剤の試作品」を服用する方法だ。しかし、その効果は一時的なもので、完全に元の体に戻るには試作品ではなく完成品が必要である。

 もう1つの方法は、高熱の状態で白乾児(パイカル)を飲むという方法だ。これは以前、服部平次が持ってきた白乾児を風邪をひいたコナンが飲んだことで、一時的に元の体に戻ったために判明している。

 ただし、2度目は効き目がなく、ただ酔っぱらってしまうだけだった。作中では「抗体ができた」と言われていたが、風邪のひいた状態で試していないために、同じ条件下で2度目の服用が効かないかは不明だ。

 重要なのは、灰原も風邪をひいた状態で白乾児を飲んで元に戻れたことだ。コナンだけでなく灰原もということは、APTX4869に対して一定の効果があるということになる。

 灰原もこの効果に着目して、白乾児の成分を参考にして「APTX4869の解毒剤の試作品」を開発した。そう考えると平次はかなりのファインプレーをしたということになるだろう。

 いずれにしても、高熱の状態やそれらを引き起こす成分が解毒のための重要なファクターになっているようだ。

 解毒剤の完成品は、コナンたちにとっても切り札となる可能性が高い。メアリーもこの解毒剤の試作品を狙っていて、事あるごとにコナンからこの薬を奪おうとしている。ふたりとも元の姿に戻れば、その力を遺憾なく発揮できる。

 コナンは高校生探偵・工藤新一として、メアリーはMI6のエージェントとして、それぞれ黒ずくめの組織に対抗できるようになれば、大きなアドバンテージとなるはずだ。

 

 APTX4869については、本当はどんな効果があるのか、黒ずくめの組織がシェリーを必死に取り戻そうとするのはなぜかなど、いまだに明かされていない謎も多い。

 APTX4869と組織のボス「あの方」との関係性も気になるところだ。これからどんな情報が明かされていくのか、今後の展開から目が離せない。

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