■「ゲーム配信」が誰かの居場所に
また、自らルールを設ける“縛りプレイ”動画の中で、今でも忘れられないのが『一発喰らえば即あうぅん! オワタ式&ナイフ縛り バイオ4実況プレイ』です。HP1、攻撃手段はナイフと体術のみという超高難易度の縛りで『バイオハザード4』に挑む動画で、2008年に投稿が始まり、なんと……いまだに完結していません。
タイトルの「あうぅん!」とは、主人公・レオンがHP0になった時に発するゲームオーバーの言葉なのですが、高速編集した「あうぅん!」を何十、いや何百と我々視聴者はいつも目にします。累計ゲームオーバー数は数万回まで届いているのではないでしょうか。まさにクレイジーな挑戦で、私にとってもメモリアルなタイトルである『バイオ4』への深い愛と情熱を感じ、強く心を打たれました。
また、『ニコニコ動画』が革新的だったのは、なんといっても「コメント機能」です。視聴者のコメントが画面上を流れていく機能が、他の動画サイトにはない圧倒的な「居場所感」を生み出していました。
誰がどのタイミングで書いたかはわからない。でも、感動や驚き、笑いといったリアクションが画面に重なり合うと、「見えない誰か」と一緒にその瞬間を共有しているような、不思議な一体感が生まれるのです。
兄が東京へ行ってしまい、学校でもゲームの話ができる相手がいなかった私にとって、その空間はまさに、もう一つの「居場所」でした。
部活や学校行事、受験勉強に追われながらも、時間を見つけては『ニコニコ動画』にアクセスし、実況動画に夢中になる日々。授業を抜けて部室で見たり、受験目前にも布団の中でこっそり見たり……。今となっては笑い話ですが、あの頃の私は完全に“沼”にハマっていました。
でもその経験があったからこそ、ネット文化への理解や知識が自然と身につき、後にアナウンサーとして番組で語るネタにもなりました。そして何より、あの時間が今の私へとつながっているのです。
今ではゲーム実況も、ソフトメーカーがガイドラインを設け、ルールの中で堂々と楽しめる時代になりました。
高校時代の私にとっての『ニコニコ動画』のように、今度は私が誰かにとっての「エンタメ」であり「居場所」になれたら――そんな思いで、配信を続けています。
「宇内さんが楽しそうに配信していたから、私もゲームを始めました」そんな声をいただいたこともあり、本当に嬉しかったです。
まだまだ駆け出しのストリーマーですが、ゲーム好きの一人として、これからも視聴者の皆さんとゲームの楽しさや感動を共有していきたいと思っています。
雑談配信もしていますので、よければ気軽に遊びに来てください。一緒に楽しい時間を過ごしましょう。
【プロフィール】
宇内梨沙(うないりさ)
ポップカルチャーを心から愛する元アナウンサー。2015年、TBSテレビに入社。アナウンサーとして多数の番組を担当する一方、ラジオやYouTubeなどでゲーム偏愛を披露。2025年にTBSを退社し、現在は『Twitch』でゲーム配信者として活動中。