
【連載】宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」第2回
会社を辞めて、私が真っ先に始めたのは、ライブストリーミングプラットフォーム『Twitch』でのゲーム実況でした。
自由な時間が増えたこともあり、「毎日配信する」ことを目標に、日々楽しく活動しています。気づけば10時間以上配信していることもあり、自分でも驚くほど熱中しています。
『Twitch』には、YouTubeと同様に視聴者からの支援やサブスクリプションといった機能があり、人気者になれば、それだけで生計を立てることも夢ではありません。今やストリーマー(ゲーム配信者)は、立派な職業のひとつと言えるでしょう。
とはいえ、職業として「ストリーマー」と胸を張って名乗れるようになるまでには、まだまだ道のりは長いと感じています。配信を始めて1ヶ月半が過ぎた今、視聴者をひきつけ続ける難しさを日々痛感しています。
そもそもゲーム実況の世界は、すでに競争の激しいレッドオーシャン。後発組である私は、大きく出遅れています。
それでも私がこの道を選んだのは、自分がゲームを楽しむだけでなく、人のプレイを見る「ゲーム実況」にも、幼い頃から触れていたからです。
今回は、そんな「ゲーム実況」の魅力について、お話したいと思います。
まず前提として、「ゲーム実況」とは、ゲームをプレイする様子を動画や配信などで他者に公開することを指します。2000年代後半、『ニコニコ動画』の台頭とともにインターネットの世界で広がっていきました。
以前のコラムでも、宇内家の長男……私の兄のゲーム好きについて触れましたが、自分ではクリアできない難易度の高いゲームプレイを兄の隣で眺めるのが私の日課でした。私が初めて見たゲーム実況者は兄と言えるかもしれません。
特に心ひかれたのがホラーゲーム。1990年代は『バイオハザード』『サイレントヒル』『クロックタワー』など、名作ホラーが次々と登場した黄金期でした。怖くて自分ではプレイできなくても、兄の横で一緒に恐怖を味わう時間がたまらなく好きでした。
「今日はやらないの?」「もうちょっとやってよ」と、続きを見たくて何度もおねだりし、「自分でやれよ!」と怒られることもしばしば(笑)。今ではインターネットを通じて、誰かのゲームプレイを見るのが当たり前となりましたが、私にとっての原点は、兄だったんです。