
映画『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle-』の勢いが止まらない。同作は2025年2月21日に公開され、興行収入は10億円を突破。ロングランヒットを続けており、5月17日からは一部上映が終了していた劇場も含め、新たなエリアでの上映も開始される。
『ヒプノシスマイク』とは、2017年9月に始動した音楽原作キャラクターラッププロジェクトであり、個性豊かなメインキャラクターが6つのチームに分かれ、熱いラップバトルを繰り広げるというコンテンツ。
今回が初の映画化であり、劇場映画としては日本初の観客参加型「インタラクティブ映画」であることが注目を集めている。これは映画館に訪れた観客がスマホアプリを通してリアルタイムで投票し、それによって劇中のラップバトルの勝敗が決まり、投票数が多かった選択肢に沿ってストーリーが進行するというもの。つまり、見る回によってストーリーやラストの展開が変わるのだ。
この前例のない仕組みは作品の要であるラップバトルとも親和性が高く、公開日から3か月がたった現在も、上映館によっては満席が続いている。
今回、この「インタラクティブ映画」を体感すべく筆者も劇場へ足を運んでみた。
筆者は『ヒプマイ』が始動した当初こそちゃんとチェックし、なんなら結構ハマっていたものの、いつの間にか「オオサカ・ディビジョン」や「ナゴヤ・ディビジョン」が登場しており、ついに女性だけの「中王区」が参戦したことを小耳に挟んだ程度の知識。
『ヒプマイ』は曲が魅力的なため、たまに聞くことはあったがメインストーリーや『ヒプマイ』のコンテンツ自体が今どうなっているかの現在地はまだ知らない。はたしてそのレベルの前知識で今回の映画は楽しめるものだろうか。
■勝敗がリアルタイムで反映
さて、平日とはいえゴールデンウィーク期間真っ只中の劇場はやはり混んでいた。今回は「シンジュク・ディビジョン」のお膝元である「新宿」での鑑賞だ。ぬいぐるみを出したり友人と推しの話をしながら劇場に入る観客の姿が印象的だった。
今回の映画では、上映中の投票のために使用するアプリ「CtrlMovie」が必須である。本編上映前にアプリの説明とダウンロード用の二次元バーコードが表示されるが、尺が短いので気をつけてほしい。映画『ヒプマイ』の公式ホームページの「よくある質問」の項をあらかじめチェックしダウンロードしておいたほうがいいが、そこまで難しい手順ではなかった。
本編で使用するための二次元バーコードはその後に表示される。こちらは表示時間もかなり長いので、先ほどのアプリがダウンロードができていなかった人はこのタイミングがラストチャンスだ。映画館でスマホを使うのはなんだか背徳感があるが、登録後は画面が自動で暗くなるため、スマホが光ってしまう心配はない。
準備ができたら、いよいよ本編がスタート。筆者はゴールデンウィーク期間は仕事ばかりだったため、池袋・横浜・渋谷・新宿・大阪・名古屋のランドマークが次々映し出されていく様子にちょっとした旅行気分すら味わえた。
本編では、First(3戦)、Second、Finalと各ディビジョンによるラップバトルが進んでいく。曲の後に10秒間の投票時間があり、その間にスマホに表示されるディビジョン名のうち、良かったと思うほうをタップするのだが、悩んでいるとすぐに時間が来てしまう。
「インタラクティブ映画」で感動したのが、シームレスな結果発表だ。投票時間が締め切られた後、すぐに結果が発表される。臨場感があり、画面に空白の時間が生まれないため、気持ちが冷めてしまうこともない。
それぞれが勝敗に対して自身のチームだけでコメントをするのではなく、両ディビジョンの絡みがあるのも贅沢な作り。推しがない状態ならではの感想かもしれないが、これは勝ち負けの逆パターンも見てみたくなる。しかし、対決とはいえ、2つのディビジョンが作り上げた素晴らしい曲であり、どうしても結果に甲乙付け難くなってしまう。