中古価格はなんと5万円超…!? ファミコン『くにおくん』のレアタイトルが秘めた「ものすごい実力」【ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」】の画像
『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』大竹剛店長 (写真/ふたまん+編集部)

 ファミコンゲームボーイスーパーファミコン……、近年、大きな脚光を浴びている「レトロゲーム」。子どものころ夢中になって遊んだあのカセットをまた買い集めたり、当時のパッケージを眺めて懐かしんだり——レトロゲームは今や、単なる「古いソフト」ではなく、思い出と価値が詰まった“コレクターズアイテム“として再評価されている。

 東京都・吉祥寺にある『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』は、そんなレトロゲームが豊富に揃うだけでなく、1本十数万の値札がついた超プレミアソフトがズラリと並ぶことで、海外のマニアにも注目されているリユースショップ。店長を務めるのは、自身も大のゲームコレクターである大竹剛さん。『ハードオフ』きっての目利きとして、これらのゲームアイテムに目を光らせる存在だ。

 そんな大竹店長が、吉祥寺店のショーケースに並ぶソフトの中から、毎回1本をピックアップし、そのゲームにまつわる「ちょっといい話」を語る新連載がスタート! 記念すべき第1回は、ファミコン最後の“くにおくん“が登場……!?

■ファミコン末期に登場した“くにおくん”のストリートバスケ

ファミコン『熱血!すとりーとバスケット』(テクノスジャパン)

ハードオフ大竹店長の「レトロゲームちょっといい話」第1回

 

 『ハードオフTOKYOラボ吉祥寺店』の店長、大竹剛です。今回ご紹介するのは、『熱血硬派くにおくん』でおなじみ“くにおくんシリーズ”で、ファミコン最後の作品となる『熱血!すとりーとバスケット』(テクノスジャパン)。1993年12月に発売されたタイトルです。

 現在、当店では、箱と取扱説明書の付いた完品が59400円(税込)、カセットのみでも19800円(税込)と、スゴイ価格になっています。なぜこんなに高いのかというと、その理由は「本数が少ない」から。

 一般的にレトロゲームは、市場に出回っている本数が少ないほど、高価になる傾向があります。ファミコンのカセットは、自社生産するメーカーも一部ありましたけど、基本的には任天堂に生産を委託していました。ファミコンブームの頃は、発注できるのが最低10万本から……なんて年もあったと聞きますが、『熱血!すとりーとバスケット』の発売はファミコン末期の1993年。ですから、このころはかなり少ない本数でも発注できたんじゃないかと思います。

 今回、このソフトを選んだのは理由があります。実は私、かつてテクノスジャパンの新潟事業所で8年ほど、くにおくんのドット絵を描いていたんです。他の職業に就いていたとき、たまたま『ダウンタウン熱血物語』のイラストを使った求人広告を見て、「キャラのデフォルメ感が独特で好き!」と思って応募しました。

 昔からイラストを描いたりするのは好きだったんですけども、まだ当時は今ほどパソコンなんて身近じゃない時代。「ドット絵」のことも本当に何も知らないで入社して、「キャラクターの立ってる絵を描いたら、あとは勝手にプログラマーが動かしてくれるんだろう」ぐらいに思っていました。今考えると信じられないですけど(笑)。

 たまに、私に「サインをください」って方がいらっしゃいます。ですが、くにおくんおなじみのパッケージの絵を描いていたのは私の先輩で、私はドット絵を描いていただけ。色紙にドット絵を描くこともできないので(笑)、仕方なしにサインを書きますが、本当に先輩には申し訳ない気持ちになります。

 ただ、新潟事業所には開発ラインが2つあって、この『熱血!すとりーとバスケット』は、私が所属していないほうのラインで作っていたんですけどね。テストプレイすらしていません(笑)。

 このころ、私が関わっていたのは、ゲームボーイの『熱血!ビーチバレーだよ くにおくん』。それと、ファミコンで出す予定だった『くにおのおでん』です。『おでん』は結局、スーパーファミコンで出すことになりましたが、私がファミコン用に作った素材を活かしてくれました。

 ちなみに、ファミコンで私が携わったのは、『いけいけ!熱血ホッケー部「すべってころんで大乱闘」』と、『熱血格闘伝説』の2本です。

 

  1. 1
  2. 2
  3. 3