■魔人ブウに“吸収される”前提の作戦!? 悟空の奇策ふたたび

 「魔人ブウ編」でも、悟空の奇抜な戦法は健在だ。超サイヤ人3へと変身しても倒しきれない強敵・魔神ブウに対し、悟空とベジータはポタラによって合体。最強戦士・ベジットとして立ち向かう。

 その圧倒的な力でブウを圧倒するベジットだったが、彼の目的は単なる勝利ではなかった。ベジットはわざとブウを挑発し、自分を吸収させるよう仕向けていく。

 実はこの時、ブウの体内には悟飯、悟天、トランクス、ピッコロがすでに吸収されており、彼らを救出するには自らもブウに取り込まれるしかなかったのだ。まさに命がけの潜入作戦といえるだろう。

 だが、悟空のこうした戦法は、実は過去にも前例がある。天下一武道会の決勝でマジュニア(ピッコロ)と戦った悟空は、巨大化したピッコロの体内に飛び込み、封じられた神様を小瓶ごと救出したことがあった。ただし、今回は自ら吸収されに行くというさらにリスクの高い作戦であり、常人には到底思いつかない発想だろう。

 この一連の行動は、悟空の柔軟さと大胆さ、そして状況に応じた対応力を象徴している。正面からでは突破できない相手に対し、あえて相手の能力を逆手に取って打開するという戦略は、戦いの天才・悟空ならではのやり方だと言えるだろう。

 

 ただ力任せに戦うだけではなく、予想を超える奇策で敵を翻弄する。それが孫悟空という戦士の真骨頂だろう。

 息子・悟飯を信じた判断、自爆するセルを瞬間移動で界王星に送り出した決断、さらには自ら吸収されに行くという離れ業。どの場面にも、悟空ならではの柔軟な発想と大胆な行動力が光っていた。

 常識破りだからこそ実現できる悟空の作戦は、ただのバトルをドラマに変える力を持っていた。だからこそ孫悟空の戦いは世界中の人々の胸を熱くし、今もなお魅了し続けているのだ。

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