■上位版「げんま召喚」
そして「しょうかん」の上位互換といえるのが、「げんま召喚」だ。こちらは『ドラクエ7』に登場する特技で、シリーズ初登場となった魔法系の最上位職「天地雷鳴士」をマスターすることでようやく習得できる超強力な特技だ。
習得までに賢者とスーパースターを極める必要があるが、「しょうかん」より高性能な幻魔たちを呼び出すことができる。道のりは決して楽ではなく、特別な熟練度稼ぎでもしない限り、冒険の終盤で身につけることになるだろう。
ただ、「げんま召喚」でも命令は不可、HPが尽きると退場、呼び出しはランダムという仕様は変わらない。
「しょうかん」以上にタフなHPを持ち、強力な呪文や特技を使用してくれるが、こちらもひとクセもふたクセもあるキャラクターたちだ。
たとえば、回復と補助に強みを持つ幻魔「カカロン」は、「ベホマ」「たたかいの歌」などを使用してくれる。とはいえ、HPが低いキャラに優先的に「ベホマ」を唱えてくれるわけではないため、サポート役として全幅の信頼を置くわけにはいかない。
また、踊り系の技を使う幻魔「クシャラミ」も「ハッスルダンス」による回復はありがたいが、「メダパニダンス」「しのおどり」などは効かないボスも多く、幻魔の中ではハズレの部類。もはや、その膨大なHPを生かした「弾除け係」と割り切ったほうがいいだろう。
一方で、物理攻撃特化型「バルバルー」は、「はやぶさぎり」「まじんぎり」「つるぎのまい」などで安定したダメージを稼いでくれる。サムシンの上位互換といえる存在で、ボス戦では頼りになる。
最強の幻魔「ドメディ」は攻撃・補助・回復すべてをこなす万能型。「におうだち」「ひばしら」「グランドクロス」「ベホマズン」など、呪文・特技がすべて一級品だ。ただしMP自体が多くないため、長期戦では息切れしてしまうのがネック。せめて、「マホトラ」か「マホキテ」などでMP回復できたら文句のないところだが、やはりどこかクセのあるのが幻魔だ。
とはいえ、「しょうかん」や「げんま召喚」は、戦闘を確実に有利に進めてくれるもので、とりあえず唱えておけば損はない特技である。呼び出される召喚・幻魔によって左右される運要素もあるが、何が飛び出すか分からないビックリ箱的な要素は、『ドラクエ』らしい部分でもある。まるで、シリーズから姿を消した「パルプンテ」的な楽しみがあったのだ。
派手な呪文や必殺技に目を奪われがちな中で、こうした地味なサポーターたちの働きを見直してみるのも一興だ。