■特殊イベントの割には効果はいまいち?「マジャスティス」「ギガジャティス」
『ドラクエ』シリーズではイベントを経てキャラクターが習得する特殊な呪文も登場する。なかでも残念呪文として有名なのが、『ドラクエ7』で初登場した「マジャスティス」ではないだろうか。
こちらはイベントによって取得する主人公の専用呪文で、相手にかかっている補助効果をすべて打ち消す効果がある。
こう聞くとかなり有用に思えるのだが、実はいろいろと使いづらい点も多い。
まず、消費MPがかなり高い。そして、呪文を跳ね返す「マホカンタ」を打ち消すことができなかったりと、思いがけない縛りも存在している。
極めつけが特技「いてつくはどう」の存在だ。こちらは、消費MPなしでより上位の効果を得られるため、あえて「マジャスティス」を唱える必要がないのである。
その後、さらなるイベントを経て「マジャスティス」の強化版である「ギガジャティス」も習得することができるのだが、こちらもどうにも使い勝手が悪い。
「ギガジャティス」は敵味方全体の補助効果を打ち消し、魔法の発動を一定ターン阻害する効果を持つ呪文だ。字面だけ見るとかなり強力そうだが、効果範囲が味方にまで及んでしまって強化呪文なども打ち消してしまううえ、さらに魔法を封印する効果も明確な解除方法がないのである。
この呪文を習得するイベント自体は重厚なストーリーが展開されるのに、肝心の効果があまりにも実用的でないことから、使わないままでいたプレイヤーも少なくはないだろう。なんとも肩透かしな効果を持つ残念な特殊呪文であった。
個性豊かな呪文が揃う『ドラクエ』シリーズだが、そのすべてが実用的とは限らない。さまざまな理由で不遇な扱いを受けてしまった呪文たちが多数登場している。ただ、その一方で、その冴えない能力が逆に際立ち、存在を覚えているというファンも多いのではないだろうか。それもまた、『ドラクエ』シリーズの“味”とも言えるのかもしれない。