『ドラクエ3』ヒャダインに『ドラクエ4』ミナデインも…歴代『ドラゴンクエスト』使ってみてションボリ「性能が残念すぎる呪文」の画像
『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』 (C)1988 エニックス、バードスタジオ、アーマープロジェクト、チュンソフト 音楽/すぎやまこういち

 RPGの金字塔として数々の伝説を打ち立ててきた『ドラゴンクエスト』シリーズ(スクウェア・エニックス)。昨年11月にはHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』が発売され、そして2025年にもHD-2D版『ドラゴンクエストI&II』の発売が予定されているとあって、往年のファンも沸き立っている。

 そんな『ドラクエ』シリーズには、作品ごとに個性豊かな「呪文」の数々が登場する。攻撃、回復、補助、移動と、プレイヤーに力を貸してくれる呪文たちはシリーズの醍醐味でもある。

 だが、なかには「なぜ、こんな効果に?」と、思わず首をかしげてしまう効果のものも登場し、プレイヤーを困惑させた。そこで思わず存在意義を問いたくなってしまう、「残念な呪文」たちを振り返っていこう。

■不遇な理由は、まさかの設定ミス?「ヒャダイン」

 『ドラクエ』シリーズでの呪文といえば、やはり相手に大ダメージを与える攻撃魔法を真っ先に思い浮かべるファンも多いのではないだろうか。

 シリーズを重ねるごとに多種多様な属性の攻撃魔法が追加されてきたのだが、『ドラクエ3』ではこれまでとは違った氷系の呪文・ヒャドが登場し、バトルに新たな彩りを加えることとなった。

 そんなヒャド系呪文において思いがけず不遇な扱いを受けてしまったのが、ファミコン版『ドラクエ3』に登場するヒャドの進化系の呪文「ヒャダイン」だ。

 敵全体を攻撃できる「ヒャダイン」は、広範囲に氷をばらまく氷系呪文だ。性能だけを見るとおかしな点はないように思えるが、問題はこの呪文を習得する順番にある。

 本来、ヒャド系の呪文は、性能的に見れば「ヒャド」→「ヒャダルコ」→「ヒャダイン」→「マヒャド」の順に進化を遂げるのが妥当。だが、制作側のミスか、ファミコン版ではこの3、4番目……すなわち、「ヒャダイン」と「マヒャド」の習得順が逆になってしまったのだ。

 一応、マヒャドは「敵グループ」が攻撃対象なのに対し、ヒャダインは「敵全体」が対象となるため使い分けは可能だが、威力においてはマヒャドのほうが高性能であることから、無意識にこちらを使い続けていたプレイヤーも多いだろう。

 この仕様は、リメイク版やのちのナンバリング作品では修正されている。だが、そもそも『ドラクエ5』からは「ヒャダイン」自体がなくなってしまうなど、いまいち不遇な感の否めない呪文となってしまった。

 まさに知る人ぞ知る、残念な背景を持った呪文といえるだろう。

■発動条件がなかなか厳しいロマンあふれる最上級呪文「ミナデイン」

 基本的に呪文はキャラクターが1人で放つものなのだが、この前提を大きく覆す斬新な呪文が『ドラクエ4』から登場している。

 その呪文とは、勇者が習得する専用呪文・デイン系の最上級の「ミナデイン」だ。「ライデイン」、「ギガデイン」がほかの呪文同様、1人で敵に雷を放つのに対し、「ミナデイン」はパーティ全員の力を集結させ、強力な一撃を相手に叩き込む。

 “みんなの力をあわせて放つ最強の呪文”というとロマンあふれる響きに聞こえるが、実は特殊な発動条件があるゆえ、こちらも存在意義が問われる呪文となってしまっている。

 まず前提として、この呪文を唱えるためにはパーティ全員のMPを15ずつ消費する必要がある。つまり、アリーナ、ライアン、トルネコといったMPを持たないメンバーがいる場合は発動できない。さらに、発動前にメンバーの誰かが戦闘不能になっていたり、3人以下だったりすると呪文は不発となってしまうのだ。

 それに発動条件が揃ったとしても、呪文を唱える勇者以外はいっさい行動をとることができない。場合によっては、全員でそれぞれ攻撃を仕掛けたほうが高火力が叩き出せたりすることも……。

 このように発動するための下準備やコストに対し、いまいちその成果が見合わない魔法になってしまっているわけだ。

 のちのシリーズにもデイン系最強魔法としてたびたび登場している「ミナデイン」だが、やはり発動時の縛りも共通しており、ロマンあふれる設定のみならず、その不遇な扱いまでをも受け継ぐ結果となってしまった。

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