
5人の戦士が一致団結して危機を乗り越えながら、悪の組織が送り込んでくる怪人に挑む! 毎週そんな熱い物語が展開される特撮作品「スーパー戦隊シリーズ」は、1975年放送の『秘密戦隊ゴレンジャー』から幕を開けた。
今年で50周年を迎える「スーパー戦隊」シリーズは基本的に5人の男女がチームを組むというコンセプトを守りつつ、動物や忍者などバラエティ豊かなモチーフを戦隊に加味。さらには巨大ロボットまで登場するなど、さまざまな魅力が詰めこまれており、今も子どもから大人まで魅了しつづけている。
そして忘れてはならないのが「男女」混成チームであること。チームに女性隊員が加わり、悪の組織と戦うお姉さんに胸をときめかせた男子も多数いたことだろう。
今回は昭和の「スーパー戦隊」シリーズのなかでも、とくに多くの視聴者を魅了した美しいヒロインたちの印象的なエピソードを振り返っていこう。
※本記事は各作品の内容を含みます。
■ホットパンツ姿が麗しい『秘密戦隊ゴレンジャー』ペギー松山
最初に紹介するのは1975年から77年にかけて放送された『秘密戦隊ゴレンジャー』に登場する、“モモレンジャー”こと「ペギー松山」だ。
小牧リサさん(現在は小牧りさ名義)演じるペギーは父親がスイス人、母親が日本人で容姿端麗。もともとは国際秘密防衛機構イーグルの化学分析班に所属していたこともあって、爆薬の知識に長けた知性派という一面を持つ。
さらに格闘技も得意で、ホットパンツ姿からスラリとした脚を高々と上げて蹴りを見舞う姿にドキドキした男子も多かったはず。
そんなペギーの特徴のひとつでもある「変装技術」がクローズアップされたのが、第57話「黒い包囲網! 五つの顔のペギー」というエピソードだ。
浄水場に火薬が流入した原因を調査すべく、ペギーは単身で西多摩市に潜入。だがその町は、すでに悪の組織・黒十字軍のトサカ仮面が支配していた。
ペギーは白いウェディングドレス姿や火消しの纏持ちなどに変装しながら難を逃れる。さらにペギーは敵の目を欺くために、テニスプレイヤーや金髪の外国人などにも変装。とくにテニス選手にふんしたときのミニスカ姿に魅了された視聴者は多いだろう。
そうこうするうちに、ペギーは敵基地らしき工場を突きとめ、黒十字軍が地震爆弾を使った恐ろしい計画を立てていることを察知する。
トサカ仮面との戦いでは、爆弾のエキスパートらしくモモレンジャーのイヤリング爆弾が炸裂。高い知性と強さ、そして美しさを兼ね備えたペギーは、それまでの特撮作品のヒロイン像を一新した存在と言っても過言ではない。
■まさかのヒロイン交代劇! 『バトルフィーバーJ』ダイアン・マーチン(初代)、汀マリア(2代目)
続いて紹介するのは1979年から80年にかけて放送された『バトルフィーバーJ』に登場した“ミスアメリカ”こと「ダイアン・マーチン」。その役名は実際演じた俳優と同名(放送当時はD.マーチンと表記)であり、彼女の声はモモレンジャー役の小牧リサさんが担当している。
国防省のエリートによって結成されたバトルフィーバー隊の一員であるミスアメリカは、アメリカ・オセアニア代表の戦士。ディスコダンスをベースにした華麗なスタイルで戦うのが特徴だ。
凛とした美貌の持ち主で、どこかミステリアスな雰囲気を漂わせるダイアン。水泳が得意で、オープニングの映像では水着姿まで披露している。日焼けは美容に悪いという信条を持ち、泳ぐのは室内のプールばかりだったが、大胆なビキニ姿をたびたび披露した。
だが第24話「涙!ダイアン倒る」で、ダイアンにまさかの展開が訪れる。このエピソードではダイアンの妹キャサリンが来日。FBI捜査官の汀マリアが引率していたにもかかわらず、秘密結社エゴスにさらわれてしまう。
その後、エゴスはキャサリンを囮にしてダイアンまで誘拐。囚われの身となったダイアンは秘密基地の場所を明かすよう脅され、ドラキュラ怪人に血を吸われるという拷問を受ける。
ダイアンの機転を利かせた行動で、ドラキュラ怪人の魔の手からキャサリンを連れて脱出。だが、傷を負った彼女はこれ以上戦うのは不可能だった。
するとダイアンは、汀マリアにミスアメリカのスーツを託し、妹キャサリンととともに故郷のアメリカへ帰ってしまうのである。
「スーパー戦隊」シリーズのメインメンバーで、初の外国人キャストだったダイアン。まさかのヒロイン交代という展開もあり、当時の子どもたちに強烈すぎる衝撃を与えた。