
4月18日から、最新作の劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』が公開された。劇場版シリーズ28作目となる今回は、眠りの小五郎こと毛利小五郎がキーパーソンのひとりであることが明かされており、往年のファンも楽しみにしてきただろう。
そんな『名探偵コナン』といえば、主人公である工藤新一に劇薬を飲ませ、小学校1年生の江戸川コナンの姿に変えた「黒ずくめの組織」の暗躍も気になるところ。とはいえ、30年を超える長期連載となった今、意外と忘れている人間関係もあるものだ。
そこで今回は「黒ずくめの組織」の複雑怪奇な人間模様を振り返ってみたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■ちょっと大人な雰囲気が漂う…ジンとベルモットは親密な関係
「黒ずくめの組織」の幹部というと、ジンやベルモットを思い出す人が多いだろう。両者は頭が切れるうえ、戦闘能力も高い。そんな2人だが、実は“ただならぬ関係”をほのめかす描写もあった。
コミックス第29巻にて。とある店で席に座っているジンとウォッカ。この店にはステージがあり、人気の歌姫が出演していた。そこへ男性バーテンダーが近づき「歌姫からお二人に……」と、ドライマティーニを運んでくる。
そのバーテンダーはベルモットの変装だった。即座に見破ったジンはそのバーテンダーの頭を掴んでテーブルに叩きつけ、アイスピックで突き刺そうとする。うまくすり抜け、“冗談よ”と言うベルモットなのだが、その後の会話がなんとも意味深なのだ。
「どう? 今夜…久し振りにマティーニでも作らない?」と、ジンに問いかけるベルモット。マティーニは、お酒のジンとベルモットを混ぜて作るカクテルということで、これはきっと大人のお誘いの比喩……。しかし、側にいたウォッカは「マティーニを…ですかい?」と聞いており、2人の関係には気づいていない様子。
するとベルモットは「知らないの? ジンとベルモットが交われば…」と続ける。だが、そこでジンは「フン…黒と黒が混ざっても…黒にしかならねぇよ…」と切り返すのだ。
このやり取りにより、この2人がただならぬ関係であることがうかがえる。恋愛的な意味のある親密さというよりは、一線を越えたかもしれないがドライな関係……というような雰囲気だ。
■時にやらかすウォッカは組織のクッション役? 粛清されないのは愛されキャラゆえか
ウォッカは、ジンとともに第1話から登場している「黒ずくめの組織」の重要人物だ。時にうっかりやらかしたりもするものの、ジンにいまだ粛清されていないところを見ると、人望のある存在なのだろう。組織の愛されキャラといったところか。
そんなウォッカの印象的なやらかしといえば、重要な取引現場を工藤新一に目撃されたことだ。毎回劇場版で紹介されているようにすべての始まりといえるシーンで、とてつもなくインパクトが大きいミスである。
ほかにも、コミックス第38巻では、組織の取引相手であったCGクリエイター(板倉卓)の声に扮したコナンの策略にはまり、指紋や唾液を取られている。さらにCDーROMに発信機が付いていることに気づかず、危うく組織に持ち帰りそうになっていた。
いずれのミスもその場にいたジンによっておおごとにはならなかったものの、指紋や唾液から鑑定などされていたら、危うく組織は壊滅してしまっていたかもしれない。
だが、こんな痛恨のミスを犯しても、ジンには銃口を向けられただけでお咎めなしだったウォッカ。
黒の組織の幹部ではジンがリーダー的ポジションで、ウォッカは忠実な弟分。無口で取っつきにくいジンへのクッション役となっている場面も見受けられる。普段は冷徹なジンだが、ウォッカに対してはいくらか情というものがあるのかもしれない?
ジンの愛車・ポルシェ356Aにはベルモットなどさまざまな組織の仲間も同乗しているが、ウォッカが一緒にいる時には普段より会話も進んでいる印象だ。ちなみにウォッカは無口なジンの代わりに解説役になることも多く、読者にとってもありがたい存在である。