『星をみるひと』に『元祖西遊記スーパーモンキー大冒険』も…ファミコン「冒頭から理不尽すぎた」超難関ゲームの画像
ファミコンソフト『星をみるひと』(ホット・ビィ) (C)1987 HOT−B(画像は「星をみるひと公式サイト」より)
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 最近のゲームには説明書が付属しておらず、ゲーム内のチュートリアルで実際にプレイしながらシームレスに操作方法や世界観を理解していくことが多くなった。なかにはシステムの複雑さゆえ、とことん丁寧に説明してくれるものもある。

 しかし、ファミコンがゲーム業界の第一線を走っていた80年代は、ゲーム内での丁寧な説明などないのが当たり前。説明書を読まずにプレイし始めれば、途方にくれてしまうこともザラ。さらに仮に説明書を読んでいたとしても、序盤から進められないようなゲームも珍しくなかった。

 今回はそんな、プレイ開始早々から理不尽さを感じるほど難しかったファミコンゲームを振り返っていこう。

■ランダムに出現する強敵が主人公の出立を阻む!『星をみるひと』

 まずは、1987年にホット・ビィから発売されたRPG『星をみるひと』を紹介したい。

 本作は、未来の巨大都市を舞台に超能力を持つ4人の子どもたちが襲い来るロボットや改造生物たちと戦いながら、さまざまな謎を解き明かしていく物語だ。

 タイトル画面でボタンを押すと、何の説明もないまま2D見下ろし型のキャラクター操作画面に移行。主人公らしきキャラが何者なのか、なぜここにいるのか、何を目的としているのかすべてが謎なまま、島の探索を開始することになる。

 そして敵とエンカウントするとターン制のコマンドバトル画面に切り替わり、さっそく戦闘が開始する。だが、本作の敵は序盤からとにかく容赦ない。

 序盤から中盤にかけて登場する敵はたったの3パターンで、しかもそれが主人公のレベルに関係なく毎回ランダムで出現するという運要素を含んだ仕様なのだ。これが、本作の難易度を各段に引き上げているといえるだろう。

 こちらから敵に与えるダメージが0〜2しかないのに対し、敵から受けるダメージは軽く10を超えたりすることもあるため、初戦でゲームオーバーも普通に起きてしまう。

 謎の天の声から「このみじゅくもの!」という罵りを受け、打ちひしがれるプレイヤーの救いとなるのが、初期スタート位置から一歩左に進んだところにある隠された最初の町である。

 「なぜ最初の町を隠すのか……?」というボヤきは置いておいて、この町には無償で回復してくれるNPCや武器屋があることから、ここを拠点に育成を進めれば良いということがわかる。

 要は、この隠れた町の存在に気付くことさえできれば、あとは強敵への反骨精神でなんとか攻略を進めることが可能になるというわけだ。とはいえ、初期スタート位置から「左」を入力して町の存在に気がつかなければ、「詰み」といって過言ではないのがこのゲームの恐ろしいところだろう。

 ちなみに本作は、2020年にNintendo Switch(任天堂)でリメイク版が発売されている。難易度の高さはそのままだが「移動速度2倍」や「巻き戻し」などゲームを遊びやすくするシステムが搭載されているので、「死にゲー」に向き合う気持ちで、本作をプレイしてみるのはいかがだろうか?

■一面の無限ループから抜け出せない!『エルナークの財宝』

 同じく1987年にトーワチキから発売されたアクションゲーム『エルナークの財宝』も、冒頭からなかなか理不尽な仕様になっていた。

 ある日主人公のもとに、有名なトレジャーハンターであるジョー・クロサワから一通の手紙が届く。「エルナークの財宝」を探すため救援に来てほしいと記されていたことをきっかけに、主人公も冒険の旅に出る……というのが大まかなストーリーだ。

 ストーリーは説明書記載のものに加えて、タイトル画面でボタンを押すとゲーム内でより詳細に解説してくれる。しかしこのゲーム内で解説されるストーリーがとにかく読みづらい。

 解像度の関係から文字の表記がすべてカタカナなのは仕方がないとしても、文字数がやたら多いために内容が全く入ってこないのだ。アイテムについてもまとめて解説してくれるものの「ミズノウエヲアルケルコトガアリマス」などどこか曖昧さもあり、“まずはやってみて覚えよう”と、解説をすっ飛ばした人も多かっただろう。

 プレイがスタートすると例によって謎の土地にいきなり放り出される。アクションゲームらしく、プレイヤーの困惑をよそに次々と敵らしきものから攻撃が飛んでくるのも容赦がない。

 スタート地点からいきなり左右に道が分岐しているため進むべき方向がわからないのだが、そこは「冒険」という本作のテーマに乗っ取って自由に探索を開始する。しかしこのゲーム、進んでも進んでも1面から一向に抜け出せない。正解のルート以外を進んでしまうと、何度やっても初期位置に戻されてしまうのである。

 進み方としては、「右のルートの行き止まりに向かって1秒以上進み続ける」というのが正解なのだが、そんな発想が生まれるわけもない。さらにあまりにも淡白に次の道へと進むため、プレイヤーにとってはこれが正解のルートなのかバグなのかもわからないほどだ。

 このように、冒頭からプレイヤーをふるいにかける『エルナークの財宝』は、発売から13年間クリア者が出なかったとも言われるほど理不尽なゲーム性となっている。その真偽のほどはともかく、当時のプレイヤーたちが受けた絶望を考えると胸が痛くなってしまう。

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