宇内梨沙「前が見えなくなるくらい涙があふれた」、人生を大きく変えた『ファイナルファンタジーX』の思い出【宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」】の画像
宇内梨沙

【連載】宇内梨沙「ひねもすぬまりぬまりかな」第1回

 

 私は本当にゲームが好きです。

 ゲームとの出会いや時期は人それぞれだと思いますが、私がゲームの世界に沼るようになったきっかけについて今回はお話します。

 

 それは小学校高学年の頃のことです。物心ついたときには、すでに家はゲームで溢れていました。というのも、私は三人兄妹の末っ子。二人の兄がいます。

 5つ年上の長男がとにかくゲームが好きで、一人目の特権というのでしょうか。誕生日やクリスマスでなくとも、両親に好きなだけゲームソフトを買ってもらっていました。

 ですので、家の棚には名作ゲームがズラリ。私はいつでも好きなゲームをプレーすることができました。『ドラクエ』や『FF』シリーズが並ぶ中、私がふと手に取ったのが『ファイナルファンタジーX』で、これが本格RPGとの出会いとなります。

 パッケージの裏を見ると、キレイな女性のキャラクターが写っていて惹かれました。また、当時の私は、『HUNTER×HUNTER』のクラピカに恋する、大の金髪キャラクター好き。どうやらこのゲームの主人公は金髪の爽やかボーイということもわかり、まずはこの作品を遊んでみようと決めたのです。

 どんなゲームかもよくわからず、兄が高校の部活動に励んでいる時間帯に、小学校から帰った私は兄の部屋のプレイステーション2でプレイし始めました。

 驚いたのは映像美です。その頃はまだ、『ポケモン』や『スーパーマリオ』といったデフォルメされたキャラクター表現のゲームをプレーしていたので、映画のようなムービーが流れ、スラッとしたキャラクターを自分で動かせる体験にドキドキしました。

 そして、フルボイスであったこと。ここまでキャラクターが話すゲームは見たことがありませんでした。

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