■心に焼きついた『FFX』のワンシーン
そんな『FFX』が私を沼らせた要素として、間違いなくあげられるのが「恋愛」がテーマである点。
スポーツ選手として人気者だった主人公のティーダは、シンという怪物に飲み込まれ、スピラという世界に飛ばされます。そこでシンを倒す旅に向かう召喚士・ユウナに出会うのです。
ユウナの初登場シーンは、ユウナのあまりの可愛さに、ティーダだけでなく全プレイヤーが恋に落ちたことは間違いありません。
金髪で日焼けした健康的な肉体に、爽やかなお顔立ちのティーダ。そして、華奢で可憐ながらも強い意思をもつユウナ。私はどちらにも感情移入しながら、二人の恋路を追いました。
世界観やキャラクター設定ですでに魅了されていましたが、物語を進めていく中で、人生初めての感覚――ゲームに雷で打たれたのは、マカラーニャの森でのティーダとユウナのシーンでした。
もう20年以上前のゲームなので、多少のストーリー紹介は許されるでしょうか。
自分の運命と向き合い涙を流すユウナを抱き寄せ、ティーダは優しくキスをします。別れが見える中、二人は初めて互いの気持ちを交し合うことができるのです。
あのとき、ゲームって歌も流れるのかと驚いたものです。『素敵だね』という楽曲とともに、最後かもしれない二人の時間を見つめていると、私も様々な感情が交錯しました。
まだ恋愛もしたことがない小学生でしたが、まっすぐな思いは歌とともに私の心に染み入り、曲が終わる頃には、前が見えなくなるくらい涙が溢れていました。
ティーダが明るく放つ「ザナルカンド行こう!」「みんなも連れてこう!」「オレんちでパーっとやるんだ」という言葉が何を意味するのか。叶えたい未来、叶わぬ未来、自分の使命、託された希望、あまりに大きな責任を背負うユウナの表情――。
本当に美しく儚いシーンなので、ぜひプレイしてその瞬間を味わってほしいです。何歳になったって泣きます。なんたって『世界一ピュアなキス』ですから。
10歳程度の女の子が浴びるにはあまりに鮮烈で、今でもあのシーンを見た兄の部屋から眺めた窓の外の景色も忘れていません。
そして物語を終えたとき、私はこう思ったんです。