
毎年大ヒットを記録する劇場版『名探偵コナン』。4月18日公開の『名探偵コナン 隻眼の残像(フラッシュバック)』では毛利小五郎が主軸となり、江戸川コナンや長野県警の面々、安室透らとともに難事件に挑む。
普段は迷推理を披露し、周囲をあきれさせることも多い小五郎。しかし、その何気ない言動が事件の解決につながる場面もある。切れ者としての一面も時折見せ、コナン(新一)にはまだ少ない「経験」という武器も持っている。そんな小五郎が事件解決のヒントになった事件を振り返っていこう。
※本記事には作品の内容を含みます
■貧乏時代のエピソードが事件のヒントに!『泡と湯気と煙』
原作コミックス第77巻収録の『泡と湯気と煙』にて、高層マンションで起こった殺人事件に挑んだコナン。現場であるマンションに住む容疑者3人には、鉄壁のアリバイがあった。それを崩すための鍵となったのが、小五郎の貧乏時代のエピソードだ。
3人のアリバイとは、「ビールの泡がまだ残っている」、「コーヒーからまだ湯気が出ている」、「タバコの煙が上がっている」というもの。いずれも、コナンたちが容疑者の部屋を訪れる直前まで、彼らがそこにいたということを証明していた。
コナンはこの3つのうち、「ビールの泡がまだ残っている」というのは部屋にいた証拠にならないと看破する。
そのきっかけとなったのは、小五郎がかつて話してくれた貧乏時代のエピソードだった。彼は“貧乏学生だった頃によく使った手”だといって、泡が消えたビールに塩を入れて泡を復活させるテクニックを披露してくれたという。
犯人もまさにこのトリックを使い、ビールの泡を復活させ、たったいまビールを注いだばかりのように見せかけていた。小五郎の思いもよらないエピソードが事件の解決に結びついた代表的な事件だ。
■ダイイングメッセージの「バンド」の意味とは?『大阪3つのK事件』
コミックス第29巻収録の『大阪“3つのK”事件』では、コナンの憧れのサッカー選手、レイ・カーティスも参加するパーティーが大阪で行われる。その夜、ホテルで殺人事件が起こり、被害者であるエド・マッケイが残したダイイングメッセージの解読に挑むことに。エドはベルトを不自然に握り、絶命していた。
このベルトをつかむしぐさが、コナンを悩ませていた。そんな中、犯人の最有力候補であるレイの無実を晴らすため必死なコナンは、通りかかった小五郎、毛利蘭、遠山和葉の会話を耳にする。彼女らに対し、「どっかの食い物屋で聞いた事あんだよ」と何かを主張する小五郎。「その店の店員が叫んでたんだよ……『バンド』とか『ゲタ』とかってな!」などと言いながら、ダイイングメッセージを推理していた。
コナンはこの話を聞いて、レイが犯人だと確信してしまう。「そういう事かよ…くそったれ!!!」と笑みを浮かべるコナンの表情は悲痛なものだった。
「バンド」とは寿司店で使われる符丁のひとつで、「8」をあらわすものだった。エドは右手で寿司店をしめすために寿司を食べる時のしぐさをしたうえで、左手で8を表す「ベルト(バンド)」を握っていたのだった。そして、8はレイの背番号だ……。
小五郎の的外れにも思える発言が、まさかの正解につながっていたというエピソード。食事に行った時に聞いた店員同士のやりとりを覚えていて、それを必要なときに思い出せるというのも、さすが探偵というべきなのかもしれない。