■小五郎の暗号が事件の暗号を解くカギに!『沖野ヨーコと屋根裏の密室』

 ある日、小五郎の探偵事務所にアイドル・沖野ヨーコが訪ねてくる。そんな中、腹の調子が悪くなりトイレに入った小五郎は、トイレットペーパーを切らしていることに気付き大ピンチ……。その窮地を脱出するためのアイデアが重要になったエピソードが、コミックス第99巻収録の『沖野ヨーコと屋根裏の密室』だ。

 沖野ヨーコは仕事の関係である別荘に泊まったときの事件の相談に来ていた。その事件とは、屋根裏部屋にボウガンの矢に刺され絶命した男性がおり、その場に並べられたトランプが落ちていたというもの。ポーカーの手札のように並べられたトランプは、4枚、5枚、2枚……と不規則な数だった。

 何か意味がありそうだが、コナンと「小五郎の弟子2号」で、探偵事務所の隣にある米花いろは寿司の職人・脇田兼則も困り果てていた。するとそこへ、トイレにいる小五郎からコナンにメールが送られてくる。そこには「一九①➈19東西南白発中中」と「一一一二二三四五六七九九九」という、まるで暗号のようなメッセージが書かれていた。

 これは麻雀の役を表し、それぞれ国士無双と九蓮宝燈に1つ足りない状況を表している。必要なのは「北(ペー)」と「八(パー)」ということで、「ペーパーが欲しい」という暗号だった。

 この小五郎の苦しまぎれの暗号が、事件にもピッタリ合っていた。こうして、「足りないものに意味がある」というヒントを得たコナンは、トランプが示すメッセージの解読にも成功したのだった。

 本人が意図せずとも、思いもよらない言動でヒントをくれる小五郎は、コナンにとっても貴重な存在なのかもしれない。

 

 小五郎の迷推理はもはや作品の魅力の1つだ。しかし、時にはそれが大きなヒントとなり、事件の解決に結びつくケースもある。経験値だけはコナン以上にあるために、経験がヒントになることも少なくない。

 近日公開の映画『隻眼の残像(フラッシュバック)』では小五郎の活躍が期待されるだけに、原作・アニメでの彼の活躍に注目するにはいいタイミングかもしれない。

  1. 1
  2. 2
  3. 3