■ヤンデレすぎるイケメンエイリアン『東京ミュウミュウ』キッシュ

 最後は『東京ミュウミュウ』から。同作に登場した敵キャラで印象的なのは、超古代人の末裔のエイリアンであるキッシュ、パイ、タルト。今回はその中からキッシュを振り返りたい。

 地球を自分たちの物にし、長い間眠りについているボスのディープ・ブルーを目覚めさせるための物質・ミュウアクアを手に入れようと地球を訪れていたキッシュは、ミュウミュウたちとの戦闘シーンも多い。どちらかといえばちゃんと悪役らしい立ち回りをしているが、それでも完全な悪ではないため終盤に向かい立ち位置も変化していく。

 そんなキッシュの魅力は、恐ろしいまでのヤンデレぶり。初対面でいきなりいちごのファーストキスを奪った彼は、当初ピュアないちごを「自分のおもちゃ」と嘲笑うも次第に本当にいちごを溺愛するようになっていくのだ。

 しかし、いちごには青山雅也という思いを寄せる男の子がおり、そもそも敵であるキッシュの恋は叶わない。キッシュはいちごへの愛と振り向いてくれない彼女への怒りから情緒不安定になり、次第に異常な執着心を燃やすようになっていった。

 歪んだ愛が限界を突破すると、キッシュは彼女を「戦いのない世界へいこう」と強引に誘い出す。だがそれを拒絶されると、「自分のものにならないのならば殺すしかない」と自身の中に巣くう憎しみを爆発させた。

 クライマックスでは、ディープ・ブルーを裏切っていちごを助け致命傷を負ってしまう。そして愛するいちごに「いいこと教えてあげる」と微笑み、何かを口にしかけ命を落としてしまう。

 その後、青山のミュウアクアで何とか復活を果たしパイ、タルトとともに残ったミュウアクアを持って母星に帰るが、敵という立場を捨ていちごへの愛を貫いたキッシュの一途な姿は多くの視聴者の心を揺さぶった。ヤンデレすぎるものの、ファンからいちごと結ばれてほしいなんて声が上がるのも納得である。

 本来は敵であるはずのキャラが見せる優しさや胸キュン行動の数々は、いいギャップを生み彼らの魅力を引き立てる。女児向け変身ヒロインアニメはさらにそこに、ヒロインたちとの甘酸っぱい恋がしばしば描かれており、そこも見どころの一つだ。

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