浅井成実に宮野明美、諸伏景光も…『名探偵コナン』登場回は少ないのに「物語に大きな影響を与えた」キャラクターの画像
劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』 (C)2025 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

 2025年4月18日(金)新作劇場版『名探偵コナン 隻眼の残像』の公開を控え、ますます盛り上がりをみせる『名探偵コナン』。

 シリーズを通して数多くのキャラクターが登場する本作だが、警察学校組の一人として人気を誇る松田陣平のように、限られた出番ながら多くのファンの記憶に刻まれ、物語の鍵となったキャラクターも少なくない。

 そこで今回は、登場回は少ないにもかかわらず、物語に大きな影響を与えた3人のキャラクターを紹介する。

■悲しい結末…コナンの信念を変えた「浅井成実」

 まずは、「ピアノソナタ『月光』殺人事件」(コミックス7巻、アニメ11話)に登場した浅井成実(あさいなるみ)だ。

 成実は孤島の診療所に勤める、明るく美しい女性医師として登場する。黒髪のポニーテールに白衣という印象的な姿と、その端正な容姿から、登場回数が少ないながらもファンの間で人気が高いキャラクターである。

 しかし、成実の正体は浅井成実(あさいせいじ)という本名の男性であった。父を殺した犯人たちへの復讐を果たすため、島では素性を隠し、女性として生きていたのだ。

 物語終盤、その正体に気づき事件の真相に迫るコナン。すると成実は逃亡し、父の形見のピアノがある公民館へ行き火を放つ。そして、駆けつけたコナンの必死の説得もむなしく、燃え盛る建物ごと焼け死んでしまうのだった。

 この事件は、その後のコナンの心境にも大きく影響を与えることとなる。「名家連続変死事件」(コミックス16巻、アニメ78話)でコナンは服部平次とのやり取りのなかで、「犯人を推理で追い詰めて、みすみす自殺させちまう探偵は…殺人者とかわんねーよ…」と語り、成実の事件を回想している。

 そして原作者の青山剛昌さんも、犯人を死なせない本作において「月影島の話だけですね、最後に犯人が自殺して終わるのは」と、のちのインタビューで語っており、死なせてしまった成実に特別な想いを見せていた。

 また、コナン役を演じている高山みなみさんも「(成実について)ずっと心の中にあり、これからも心に留めて演じていきます」と語っている。

 さらにこの「ピアノソナタ『月光』殺人事件」のエピソードは、2021年のアニメ放送1000回記念プロジェクトで「伝説の神回」として、リブート版が制作された。

 悲しく印象的なエピソード、そしてその真犯人である浅井成実……本作において、いかに特別な存在であったかがわかるだろう。

■コナンと灰原哀をつなぐ重要な存在「宮野明美」

 次に紹介するのは、宮野明美だ。本作では、灰原哀こと宮野志保というもう一人の“宮野”が登場するが、明美は哀の実の姉である。

 明美は広田雅美(ひろたまさみ)という偽名を使い、「奇妙な人捜し殺人事件」(コミックス2巻、アニメ13話)で初登場した。原作では黒の組織と関連する重要な事件だったが、アニメでは黒の組織には関連しない単発の事件に変更されており、明美も妹・志保とは関係ない人物として描かれていた。だがその後、明美は原作の設定にあわせ、アニメ128話「黒の組織 10億円強奪事件」にて正式に、黒の組織の一員として再登場している。

 この事件で、明美は組織の裏切り者としてジンとウォッカに処刑されることになる。最期は駆けつけたコナンに黒の組織の情報を託し、「小さな探偵さん」と言い残して息を引き取った。そしてその死は、妹・志保(のちの灰原哀)の登場へとつながっていき、物語の大きな転換点となった。

 ちなみに、明美は本作屈指の人気キャラ・赤井秀一の従妹であり、かつての恋人でもあった。彼らの出会いは「赤と黒のクラッシュ」(コミックス56巻〜、アニメ491話〜)という長編エピソードでも語られている。そちらも面白いストーリーなので、是非チェックしてみてほしい。

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