
新旧のゲームファンの間で大きな注目を集めたのは、2024年11月のHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(スクウェア・エニックス)の発売だ。さらに“その続きの物語”である『ドラゴンクエストI・II』が2025年にHD-2D版で発売されることが予定されており、どのような作品になるか期待が高まるところ。筆者も小学生のときにファミリーコンピュータ版『ドラゴンクエスト』をプレイして以降、移植作やリメイク作を含めて何度もプレイしてきた。本作においても大幅なリメイクを期待してしまう。
たとえば、超難易度で知られる『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』は、リメイクによってかなりプレイしやすくなった。スーパーファミコン版以降では「ふっかつのじゅもん」から「冒険の書」に変わったのがまず一番大きなポイントで、これによってパスワードの書き間違いに悩まされることもなくなり、安心して冒険を進められるようになった。
ファミコン版だけでなくMSXへの移植に、スーファミでのリメイクなど、実は数多いバリエーションがある『ドラクエ2』。それぞれどのような違いがあったか、ポイントを振り返りたい。
※本記事には作品の内容を含みます
■専用グラフィックまで用意されたMSX版「あぶないみずぎ」の驚き
まずはファミコン版では容量の関係から採用されず、1988年2月に発売されたMSX版『ドラクエ2』で初登場した「あぶないみずぎ」だ。その後のタイトルでは『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』で正式採用され、『ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて』でも久々に登場している。
MSX版『ドラクエ2』でどのように手に入れられるかというと、ムーンブルク王女がアイテムを何ひとつ持たない状態でラダトームの王様に話しかけると無償でもらうことができる。
王様からは「なんと、うしろのおじょうさんはぬののふくさえももっていないではないか」と心配され、「たからもの」だという「ハイレグのみずぎ」がプレゼントされるのだ。
さて、MSX版ではこの水着を着た王女のグラフィックが拝める。「もしかしてここで着替えたの?」というツッコミはさておき、ちょっと恥ずかしそうにポーズを取っている王女がかわいいものだ。
その姿を見た2人の王子も興奮しており、ほとんどの作品においてセリフひとつ発さないドラクエ主人公が、ここではしっかり「おお!」と感嘆している。王様にいたっては「ああ、このとしまで、いきててよかったわい!」などとほざいており、もはや亀仙人のじっちゃんのようなやりとり。ファミコン版『ドラクエ2』しか知らないプレイヤーにとって驚き必至のシーンだろう。
■切ないオープニングの追加とサマルトリアの王子にかけられるハーゴンの呪い
同作は、1993年12月にスーパーファミコン用ソフト『ドラゴンクエストI・II』として『1』とあわせてフルリメイクされている。スーパーファミコン版ではシステムもグラフィックも新たになり、プレイしやすくなったのに加え、ムーンブルクが滅ぼされる場面がオープニングで描かれ、王女の目の前で父である王様が魔物に焼かれるなど、ファミコン版よりも悲劇的で印象深い演出が追加されている。
スーファミリメイク版で追加されたシーンはそれだけではなく、サマルトリアの王子が途中離脱するエピソードも入っている。ベラヌールの町で宿屋に泊まると、ハーゴンの呪いをかけられてしまい、彼だけが離脱してしまうのだ。この呪いを解くには「せかいじゅのは」を探しに行く必要があり、その間、頼れるサマルトリア王子がいない冒険の難易度はかなり上がることになる。
このように重要エピソードが追加されたスーファミ版『ドラクエ2』。HD-2D版での追加シーンも気になるところだ。