■影でMVP級の活躍をしたセイラ・マス
初代『ガンダム』のヒロインであるセイラ・マスも『ZZ』で登場しているが、その活躍ぶりは本作のMVP級といってもいいものだった。
第28話「リィナの血(後編)」でジュドーの妹であるリィナ・アーシタが休んでいた小屋にモビルスーツが墜落、炎上する。リィナは死亡したと思われたが、ここで彼女はセイラによって救出されていたのだ。第37話「ネェル・アーガマ」で、ジュドーたちが宇宙へと帰るシーンでは、その様子をリィナとセイラがダカールの浜辺から見送るカットがあり、多くの視聴者がほっと胸をなでおろしたはず。
また、最終決戦の直前には、セイラがブライトのもとにリィナを案内し、無事であることを報告する。同時に、『Zガンダム』最終話で消息不明となったクワトロ・バジーナ大尉ことシャア・アズナブルもどこかで生きているということがセイラの口から語られる。
のちの映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988年公開)につながる、ファン必見のシーンでもある。
そして最終話では、戦いが終わり、今後の成長のため、ジュドーは木星に旅立とうとするシーンがある。リィナは「私が会うとお兄ちゃんの決心が鈍るでしょ?」と最初は会うことを拒むのだが、セイラに「大丈夫」と促され、ジュドーの見送りに行くことを決意。
兄妹が再会するシーンで、エンディングテーマの『一千万年銀河』が流れ、感動のラストシーンを彩った。
それにしても、セイラは戦火の中、リィナを救出したのは本当にMVP級の活躍なのだが、いったいどうやって救出したのかについては作中では全く語られず、謎のままだ。
序盤コミカルなシーンが多く、評価が分かれがちな『ZZ』だが、初代『ガンダム』登場キャラの活躍ぶりや、これまでのガンダムシリーズと『逆襲のシャア』をつなぐ重要なシーンもある。必見の作品であることは言うまでもない。