セイラは?ブライトは?『機動戦士ガンダムZZ』に見る「ファーストガンダムキャラ」たちの“その後”の画像
プラモデル『HGUC 1/144 ZZガンダム 』(バンダイ) (C)創通・サンライズ

 テレビアニメ『機動戦士ガンダムZZ』は前作『機動戦士Zガンダム』の続編として、1986年3月から放送が開始された。

 初代『機動戦士ガンダム』は宇宙世紀0079年を舞台にした作品であり、『ZZ』の時代は宇宙世紀0088年と、それから9年後の世界が描かれている。シリアスだった前作『Zガンダム』と比べ、コミカル路線を強調して作られた同作は、ファンの間で評価が二分しがちなアニメだが、ファーストのキャラクターたちの活躍も見逃せないポイントのひとつだ。

 ブライト・ノア、ハヤト・コバヤシ、セイラ・マスといったおなじみのキャラクターたちが、どのような形で関わっていたのかを振り返っていきたい。

※本記事には作品の内容を含みます

■3つの戦役をほぼフルに戦い抜いたブライト・ノア

 まずは、初代『ガンダム』で急遽ホワイトベースの艦長に就任し、一年戦争を戦い抜いたブライト・ノア。ファーストの時点で19歳という若さだったブライトは、『ZZ』の時代でも27歳。若いながらも、エゥーゴでは戦艦アーガマの艦長としてティターンズとのグリプス戦役をほぼフルに戦い抜いた。

 その後もハマーン率いるネオ・ジオンとの戦いの前線に送り出されていくわけであるから、かなりこき使われている感がある。

 特に『ZZ』は、ストーリー序盤はかなりコミカル路線だったため、なかなか言うことをきかない主人公ジュドー・アーシタら少年パイロットを諫めるのに苦労している様子がうかがえる。

 序盤のコミカルシーンの中でも、これまでの真面目なキャラのイメージをあまり崩さないように描いていたと思われるが、それでも周りがドタバタすぎてブライトの真面目さが逆に面白く見えてくるから不思議だ。

 このネオ・ジオンとの抗争でもブライトはアーガマを指揮し続けたものの、新造艦のネェル・アーガマが登場した際に、ブライトはビーチャ・オーレグに艦長代理を任せて艦を降りることになった。

 ブライトで印象に残っているシーンは、最終話『戦士、再び……』で戦いが終わった後、ジュドーが「いっぱい死んだんだよ!」と泣きながらブライトに訴えるワンシーンだ。そう、味方であるエルピー・プルやエマリー・オンスをはじめ、多くの民間人も犠牲になったこの戦いで、ジュドーはやり場のない怒りをブライトにぶつけたのだ。

 かつて15歳だったアムロ・レイをぶん殴り、「なぐってなぜ悪いか!」「なぐられもせずに一人前になったヤツがどこにいるものか」と檄を飛ばしたブライトだったが、ここでは「気に入らないなら、俺をなぐって気を済ませろ!」と号泣するジュドーに全力で殴られる。

 ファーストから8年の間戦い続け、どこにも感情の行き場がない少年たちの気持ちを、自らの頬で受け止めるようになっていたのだ。

■ジュドーを守ってまさかの結末を迎えたハヤト

 また『機動戦士ガンダム』でホワイトベースのパイロットとして活躍したハヤト・コバヤシも、『ZZ』でその後の姿を見せる。

 グリプス戦役以降のハヤトは、反地球連邦ネットワークである「カラバ」の一員として地球で奮闘していた。『ZZ』の時代でも、アーガマが地上に降りた際に同様の立ち位置で、ネオ・ジオンとの戦いにも協力する。

 印象的なのは、このときに久々に再会したブライトから、カツの戦死を知らされるシーンだ。

 初代『ガンダム』で戦災孤児としてホワイトベースに乗り込んでいたカツ、レツ、キッカの3人をハヤトは養子として引き取った。だが、前作『Zガンダム』終盤、カツは壮絶な戦死を遂げている。

 カツの戦死を知らされ、「フラウと子どもたちにも報告しないといけないな」と気丈にふるまっているが、ハヤト自身はかなりショックを受けていたはずだ。もちろん初代『ガンダム』を知るファンもカツの戦死にはショックを受けたことだろう。

 だが、戦いはまだまだ悲劇を生む。ネオ・ジオン軍がダブリンの街にコロニーを落とすという情報をキャッチしたハヤトは、アーガマに連絡し、自らもドダイ改を操縦。少しでも多くの民間人を運搬すべく奮闘する。そこにネオ・ジオン軍のラカン・ダカランが率いる部隊が襲撃してくるのだ。

 アーガマからはジュドーが出撃し、ZZガンダムに合体して対抗しようとするが、ラカンは合体させまいと、標的をジュドーに変えて襲ってくる。そこでハヤトはジュドーを守るためにミサイルを発射するが、ラカンのザクIIIを撃墜できず、逆にラカンに撃ち落され、戦死してしまうのだった。

 ただ、ハヤト自身は、自爆すれば敵もやっつけられると、自爆スイッチを押そうとしていた。カツの戦死がハヤトの心理状態に大きく影響を及ぼし、彼に死を覚悟させたのだろうか。

 ハヤトの犠牲によりジュドーはZZガンダムへの合体を成功させ、敵部隊を一掃することはできたが、そのときのジュドーの涙を流しながらの叫びには心打たれるものがあった。

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