■どこまでも地獄…息子を信じきれなかった父の後悔と決意

 誠の死後、復讐の鬼と化した衛が主軸となり、物語はさらなる地獄へと突き進む。

 きっかけは、神戸に住む誠の友人・菱田涼から渡された、いじめの事実が綴られた誠の手紙だった。ショックを受けた衛は自身の行いを悔い、死の真相を追い始める。

 そんな中、衛の元に宮崎の体罰写真が送られてきた。新たな事実に激怒した衛はしらを切る宮崎をプールに沈め、体罰と同じ方法で殺害してしまう。無言で殴り続ける姿は恐ろしいものだったが、親目線になった今見ると衛の気持ちもわかり、ただただ苦しい。

 衛に体罰現場の写真を送ったのは、新見だった。彼は衛を観察し、その裏で留加に接近して想いを告げる。だが、拒否されたうえに黒幕だと気づかれると、不安定な留加を巧みに操り自殺に誘導。留加は何とか一命を取り留めるも幼児退行してしまった。

 衛は次に謝罪を求めていじめの加害者たちに迫り、パニックに陥った生徒たちはそれぞれの地獄に落ちていく。その中で、裁判で証言を約束した生徒・松野裕次が裏切者と言われ、武藤らにいじめられる展開があるのだが、いじめは無くならないという残酷な現実に悲しい気持ちになってしまう。

 そして同時期、森田がようやくいじめの事実を知る。いくら彼女が新見の婚約者で、彼の意のままに操られていたとはいえ、気づくのが遅すぎでは……と思ってしまうが、これを機に森田も新見の本性に気づいていく。そんな新見は荒れる衛の姿に最高潮の興奮を見せる。盗撮していた誠の飛び降り写真を送り付け、ついに衛と対峙することになる。

 あっさり自分の仕業だと認めた新見は、“自分を殺す衛を写真に収めたい”と提案する。「写真を撮る前、誠を助けられたか」という問いに、「あるいは」と微笑む新見に切れた衛は、興奮しながらシャッターを切る新見の首を締める。だが、警察と森田が駆けつけ、衛は逮捕された。誰にも裁かれず逃げのびた新見は、駅のホームで何者かに突き落とされ電車に撥ねられる。あの手は、誠の亡霊だったのだろうか……。

 今回改めて再視聴したが、親目線で見るとより親子の苦しみがダイレクトに伝わり苦しくなってしまった。今ならば、地上波での放送が難しい内容だとは思うが、こういった強いメッセージ性のある作品もあっていいのではないだろうか。

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