■KinKi Kidsもブレイク!悪役の名演技も光る
主演ではないものの、大注目を集めたのが初共演を果たしたKinKi Kidsである。当時15歳だったこともあって中学生役とは親和性も高く、二人の演技は視聴者を魅了した。
やはり、追い詰められていく誠の変化を繊細に表現した剛さんの演技は改めて見ても引き込まれてしまう。時折見せる笑顔とのギャップで、思わず涙が出てしまうシーンばかり。また、自身の歪んだ人格に苦しむ留加役の光一さんも同様だ。「頭の中にハエがいるんだ」とパニックになるシーンは、30年ぶりに見た今でもハッキリ覚えているインパクトが強いものだった。
そんな複雑な役に挑んだ二人は同作で一躍時の人となり、ドラマに引っ張りだこになっていく。
もう一つ、忘れてはならないのが悪役を演じた俳優たちだ。同作は基本的に、いい人がほぼおらず、皆どこかしら問題を抱えている。とりわけ恐ろしいのが黒幕である教師の新見だ。演じていた加勢さんが好青年ぽい顔立ちなこともあって表と裏の顔の違いが引き立ち、常に陰湿な不気味さが漂っていた。
そして、2020年に亡くなった名バイプレイヤー・斎藤洋介さん。誠に向ける悪意に満ちた表情、誠の死後に見せた怯え方などから垣間見える宮崎という人間の精神の弱さは、数々のクセものを演じてきた斉藤さんでなければ表現できなかったのではないだろうか。
子役でひと際存在感を放っていたのは、いじめられっ子からいじめっ子にシフトする武藤和彦役の黒田勇樹さんだろう。自分を助けてくれた誠に嫉妬し、凄惨ないじめに没頭していく様子に憤りを感じたという視聴者は多かった。
黒田さん自身も後のインタビューで、武藤を演じて世間から酷い誹謗中傷を受けたことを明かしている。それほど役への入り込みがうまいということでもあるのだが、まだ小学6年生だった黒田さんには辛い体験だっただろう。ちなみに、生徒役としてドラマ初出演となった三宅健さんもチラッと登場している。