■サイコミュ対策が前進した理由

 ガンプラ『HGUC 1/144 スタークジェガン』の説明書には、スタークジェガンのパイロットは「サイコミュ兵器との戦い方を事前に知っていた」との記載がある。

 サイコミュ兵器が登場してから約20年という年月のなかで、連邦軍の教本にもサイコミュ兵器の存在や対応策が書かれるようになったのだろう。

 そこまでサイコミュの危険性が周知された背景には、『逆襲のシャア』で描かれた「第二次ネオ・ジオン抗争」における、サイコミュ兵器による多大な犠牲者の存在があったのかもしれない。

 常人には感知できない遠隔攻撃により、なすすべもなく撃墜されていった一般兵の無念を晴らすべく、こうした対サイコミュ、対ファンネル対策が編み出されていったと考えるのが自然である。


 ちなみに『ガンダムUC』以降の宇宙世紀作品では、機体の小型化や性能向上、サイコミュ兵器を扱えるパイロットの減少などにより、ファンネルなどのサイコミュ兵器は徐々に使用されなくなっていく。その要因のひとつに、徹底したサイコミュ対策の周知も挙げられるのかもしれない。そのほか『ガンダムUC』に登場した「ローゼン・ズール」には「サイコ・ジャマー」という範囲内のサイコミュ兵器を無効化する兵装が搭載され、「ユニコーンガンダム」の動きを封じる場面もあった。

 また、メタ的な見方をするとサイコミュによる遠隔兵器の撃ち合いの戦闘シーンは単調で面白くないという側面もあるようだ。

 宇宙世紀の作品では、サイコミュ兵器は次第に廃れていった技術とされているが、そうなった背景や理由がしっかり用意されているのもリアリティが感じられる部分である。

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