「最強のスタークジェガン」はなぜ生まれたのか? 『ガンダムUC』の時代に「対サイコミュ兵器戦術」が確立されていたワケの画像
「HGUC 1/144 スタークジェガン」(BANDAI SPIRITS)(C)創通・サンライズ

 『ガンダム』シリーズには「サイコミュ」と呼ばれる技術が存在する。ニュータイプが持つ特殊な脳波を増幅させ、デバイスを通じてパイロットの意思を機体操縦や火器の管制に反映させるシステムである。

 通信を妨害するミノフスキー粒子の影響下でも遠隔操作ができ、無線での火器誘導も可能となる。

 しかし、このサイコミュを稼働できるのはニュータイプや強化人間といった一部の人物に限られている。その能力を持たないパイロットにとって、サイコミュ兵器は「見えない敵」から襲われるのと同義であり、脅威だった。

 しかし、OVA『機動戦士ガンダムUC』の時代では、サイコミュ兵器の対処法がある程度確立されているように見えた。物語の冒頭には、サイコミュ兵器「ファンネル」を使用するモビルスーツ「クシャトリヤ」に対し、名もなき兵が乗る「スタークジェガン」が善戦するシーンが描かれている。

 そこで宇宙世紀における、サイコミュ兵器に対する戦い方の変化について振り返ってみたい。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■サイコミュに対抗できるのはニュータイプだけ?

 アニメ『機動戦士ガンダム』では、ジオン公国軍の「ブラウ・ブロ」「エルメス」「ジオング」といったニュータイプ専用機が、主人公「アムロ・レイ」のガンダムと激闘を繰り広げた。

 アムロを除くホワイトベース隊のパイロットたちもジオンのサイコミュ兵器に翻弄され、一方的に攻撃されている。

 それに対してニュータイプのアムロはサイコミュ兵器の挙動を感知し、脅威であるオールレンジ攻撃すら完封する場面があった。

 また、劇場版『機動戦士Zガンダム A New Translation』では、主人公「カミーユ・ビダン」がサイコミュ兵器に対応。対サイコミュ兵器用の戦術として、投げつけて回転するビームサーベルに向けてビームを撃ち、強引にビームを拡散させる「ビームコンフューズ」という技を披露している。

 劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』では、シャア・アズナブル率いるネオ・ジオンが、サイコミュ兵器を搭載した「サザビー」「ヤクト・ドーガ」「α・アジール」といった強力な機体を擁した。

 これらの機体が有するサイコミュ兵器は、一般兵の乗る機体にはほぼ一方的に打撃を与えている。これに対応できたのは屈指のニュータイプであるアムロ・レイくらいのものであり、そのアムロもサイコミュ兵器「フィン・ファンネル」を搭載した「νガンダム」に搭乗する。

 つまり、この頃までのサイコミュ兵器を対処できたのは、アムロやカミーユといった卓越したニュータイプたちであり、いわゆるオールドタイプの一般兵には明確に対抗する手段がなかったのである。

■サイコミュ兵器対策の進化

 だが、冒頭で述べたように、『ガンダムUC』に登場したクシャトリヤと戦ったスタークジェガンに乗るパイロットは、見事なまでの対ファンネル用の戦術を披露し、クシャトリヤを相手に善戦した。

 具体的には2機の友軍機が全方位からのビームに晒されて撃墜されるのを見るや、ファンネルによる攻撃と認識。即座に散弾をばら撒いてファンネルを牽制、もしくは撃墜を狙った。

 弾を撃ち尽くしたスタークジェガンのパイロットは、ファンネルが健在であることから即座にデッドウェイトとなった装備をパージ。少しでも機体を軽くした上で、ビームサーベルによる接近戦へと移行する。

 こうした動きを行ったのは、いわゆる「名もなきパイロット」であり、この時代においてはサイコミュ兵器対策が、ある程度一般兵にも伝わっていることを示唆していた。

 なお、ファンネルに撃墜されるジェガンも描かれているため、スタークジェガンのパイロットがとりわけ優秀だったのは言うまでもない。

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