■スポンサーの経営悪化で衝撃の「完」…しかし、後に映画化?
次に紹介する『宇宙戦士バルディオス』(1980年より放送)は、葦プロダクションと国際映画社が制作したオリジナルロボットアニメだ。
テレビ東京系列で放送された同アニメは、比較的高めの年齢層をターゲットにしたハードなストーリーを展開。そんな本作が大きな話題になったのは、衝撃的な最終回を迎えたことである。
以下、最終回のネタバレになるが、世界各地が大波に飲み込まれて壊滅状態となり、地球側の完全敗北のような結末に。そこに突然「完」の一文字が出て終了となった。人類は滅亡したのか、主人公・マリンとアフロディアの関係はどうなったのかなど、うやむやのまま放送が終わってしまった。
当時、製作に携わったプロダクションリード(旧・葦プロダクション)の会長・佐藤俊彦さんによると、作品内容や視聴率の影響ではなく、スポンサーだったおもちゃ会社の経営悪化によって打ち切りが決まったが、広告代理店の好意によって放送を1か月延長してもらい「あの最終回まで続けられた」と語っている。
当初は全39話の予定で製作され、34話完成時に打ち切りが決定。第32話を最終回に繰り上げての全31話に。つまり、31、33、34話は未放送、35話から39話は製作されなかったことになる。
しかし放送終了後のファンの反響が大きく、1981年には劇場映画が公開。やや駆け足気味な内容ながら、多くのファンが物語の結末を見に劇場へ足を運んだ波乱万丈な作品だ。
ちなみに『バルディオス』と同じ国際映画社つながりで、ロボットアニメ『超攻速ガルビオン』(1984年より放送)も打ち切りを余儀なくされた。
こちらはスポンサーのおもちゃメーカーが倒産してしまい、急遽打ち切りが決定。最終回となった22話の製作が進んでいたことから大幅な手直しもできず、ラスト30秒はキャラクターの止め絵にナレーションをかぶせるという、かなり強引な終わり方だった。
■まさかの最終回に衝撃…打ち切り決定から奇跡の復活!
今度は葦プロダクションつながりで、『魔法のプリンセス ミンキーモモ』(1982年より放映)にも触れておきたい。
本作は夢のあふれるストーリーと魅力的なキャラクターによって高い人気を誇ったが、おもちゃの売り上げ不振によって、全52話の予定が第46話での打ち切りが決定。すると46話で、主人公のモモが“おもちゃを積んだ”トラックにひかれて死ぬという衝撃の最終回を迎える。
ところが、第46話の制作中に打ち切りが撤回され、63話までの延長が決定。見事なシナリオと構成で46話とそれ以降の話をつなげ、後にOVA化されたり、テレビアニメ『魔法のプリンセス ミンキーモモ 夢を抱きしめて』(1991年より放送)が製作されたりもしている。厳密にいえば打ち切りは撤回されたが、打ち切り話に翻弄された作品といえるだろう。
さまざまな事情によりたとえ打ち切られたとしても、そのアニメが持つ魅力は色あせない。そしてファンの声や作り手の思いに応えて人気が再燃したからこそ、いまだに「名作」と呼ばれ続けているのかもしれない。