「ダークな姿にぼうぜん…」『プリキュア』&『美少女戦士セーラームーン』で描かれた「ヒロインの闇落ち」トラウマ級の衝撃シーンの画像
『美少女戦士セーラームーンR』DVD第7巻より (C)Naoko Takeuchi 1991‐1999 (C)東映アニメーション 1992‐1997

 いつの時代も、少女たちの心を鷲掴みにする変身ヒロインアニメ。キュートなルックスでバトルアニメさながらのアクションシーンを披露する彼女たちに憧れ、マネをしていたという女子も多いのではないだろうか。

 ヒロインたちは正義の味方というのがセオリーだが、時に闇落ちの展開が描かれ視聴者に衝撃を与えることがある。そこで今回は、悪をくじいて弱きを助けるヒロインたちが見せたダークな一面を振り返ってみよう。

※本記事には各作品の内容を含みます。

■トラウマレベル?子どもたちに衝撃を与えた闇落ち『プリキュア』

 魔法少女アニメ『プリキュア』シリーズでは、ヒロインの闇落ちがたびたび描かれてきた。中でも、初めて闇落ちシーンが登場した2005年公開の劇場版『ふたりはプリキュアMax Heart2 雪空のともだち』は衝撃的だった。

 あるとき、スキー場で鳳凰の卵を見つけた美墨なぎさ&雪城ほのか&九条ひかりらは、孵ったヒナに「ひなた」と名づけて可愛がった。だがそこに、鳳凰を狙う闇の戦士フリーズン・フローズンが現れる。彼らに闘技場に導かれた二人は、隙を突かれて洗脳攻撃を受けてしまうのだ。

 先に洗脳されたのはキュアホワイト。彼女の攻撃を受けるキュアブラックはボロボロになりながら「私のパートナーでしょ?」と語りかけるも、虚ろな眼差しのホワイトの攻撃は止まらない。ついにはブラックも洗脳され、本気の戦闘に突入してしまう。しかし、二人の絆は深く、戦いの中でお互いへの想いが強まったことで、自ら洗脳を解くのだった。

 初代プリキュアは肉弾戦も見どころの一つだが、このときの戦闘も臨場感たっぷり。攻撃のいなし方や蹴り、打撃の随所に、洗脳による敵意と戸惑いが混じっていた。

 “プリキュア同士の戦い”はかつてない切り口で、公開当時は注目を集めた。一方、子どもにはショッキングだったようで、「泣いてしまった」という声が上がるほど賛否が別れてしまう。

 プロデューサーの鷲尾天氏は後のインタビューで「さすがに衝撃が強かったみたいです。そこは自分でも反省しました」と振り返っていたが、それほどまでにプリキュアの「闇落ち」はインパクトが強いのだ。そして、闇落ちは味方同士の戦いから形を変えて後のシリーズに引き継がれていく。

 たとえば、2014年放送の『ハピネスチャージプリキュア!』。同作では、キュアフォーチュンの姉であるキュアテンダーが幻影帝国の首領であるクイーンミラージュの洗脳によって敵サイドに落ちる場面があった。

 封印されていたため妹のことも覚えていなかったテンダーだが、「大好きだよお姉ちゃん。私がお姉ちゃんを止めるわ」と言うフォーチュンを見て次第に記憶が戻り、最終的には浄化を受けて元の姿に戻る。なお、クイーンミラージュもかつてはプリキュアで、ブルーへの恋心に漬け込まれて洗脳された経緯がある。 

 近年では、2023年放送の『ひろがるスカイ!プリキュア』も当てはまる。同作では、誰よりも正義感が強い主人公・キュアスカイがアンダーグ・エナジーに取りこまれて闇落ちし、外見も全く違うダークスカイへと変貌を遂げた。

 とはいえ、彼女の場合は完全に洗脳されず苦しみながらもギリギリ自我を残していた。ゆえに、一度はキュアプリズムを襲うもののスカイを信じて抵抗せずに立ちふさがる彼女を見て自我を取り戻した。短いシーンではあるが、ダークスカイの戦闘はバトルアニメさながらのキレの良さで、高クオリティだったのが印象的だ。

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