■ファミコンの“全力”を堪能できる『クライシスフォース』
トリを飾るのは、1991年リリースの『クライシスフォース』(コナミ)。後継ハードのスーパーファミコンがすでに登場していた頃、ファミコン末期の完全オリジナルタイトルということで、記憶に残っている人はさほど多くはないだろう。
ゲームスタイルは、オーソドックスな縦スクロールシューティング。アイテム取得で切り替えられる2タイプのショットと、いつでも1ボタンでチェンジできる3つの攻撃スタイル(前方重視、後方カバー、左右方向の同時攻撃)の組み合わせ、そして緊急回避手段としても使えるボムの使いどころの見極めが、攻略の基本ポイントだ。
スコアアイテムを5つ取ると自機の姿が変化して、一定時間、強力な攻撃が可能に。ふたり同時プレイの際には自機が一体化して操作を分担……というギミックは、コナミの看板シューティングシリーズのひとつ『ツインビー』に通じるものがある。
いざプレイすると、画面のチラつきが気になったり、ゲーム全体の進行速度が遅くなったりと、いわゆる“処理落ち”現象が頻発する。現在の基準で判断するとあまり完成度が高くないように思えるかもしれないが、それはとんだ早合点!
『クライシスフォース』は、1983年発売の“旧世代機”であるファミコンでは実現不可能と思われていた高速多重スクロール、キャラの(擬似)拡大・縮小表示、そして大量の敵キャラクターが入り乱れるゲーム展開を、ゲームカセットに搭載した特殊チップの性能と、歳月を経て十二分に高まった開発力によって実現した、“ロマンの塊“なのだ。
2025年現在の時点で、本作の移植版はリリースされていない。ゲームの出来の良さと希少性の高さもあり、現在も中古ソフトが高値で取引されているソフトのひとつだ。運よくプレイする機会があれば、ファミコンの“全力”を存分に味わおう。
メジャータイトルとはまた違った魅力を持つ、“オンリーワン”の良作シューティングゲームたち。ぜひ実際にプレイして、それぞれの他にない面白さを堪能してみてほしい。