
シューティングゲームが熱かった時代を思い返すと、『ゼビウス』(ナムコ)、『ツインビー』(コナミ)、『グラディウス』(同)、『スターソルジャー』(ハドソン)……といった具合に、名作のタイトルがスラスラと浮かんでくる人も多いことだろう。
その一方で、名前がぱっと出てこないタイトル、当時持っていなかった家庭用ハードでリリースされ結局プレイする機会がなかったタイトルの中に、いま遊んでも十分楽しめるものが数多くあるのも、また事実。
今回はその中から、1990年前後にリリースされて以降続編が出ることなかった“オンリーワン”の良作シューティングゲーム3タイトルを紹介しよう。
■ド派手な攻撃すべてを破壊し尽くす快感を味わえる『ガンヘッド』
まずは、1989年にPCエンジンでリリースされた『ガンヘッド』(ハドソン)だ。同名邦画のタイアップとして世に出たものの、中身はほぼオリジナル。宇宙空間を舞台に、巨大ロボや謎の生命体との激しいバトルが展開する。
自機の攻撃方法は、主に正面方向をカバーするメインショットと、広範囲の敵に対応するサブウェポン、そして敵に大ダメージを与えるボムの3種類。前述の2種類は、敵を倒すと出現するアイテムを取ることで、スタイルを変更できたり、特定スタイルの威力を強化することができる。
本作最大の魅力は、自機の攻撃のド派手さ。同一タイプの武器をコツコツとパワーアップさせることで、画面全体を覆わんばかりの攻撃を繰り出せるようになるのだ。フルパワー状態で巨大なステージボスと戦う際の迫力は、PCエンジンという当時の高性能ゲーム機だからこそ、実現できたものだろう。
飛来する敵部隊を全滅させたり、地表に敷き詰められた地形物を、エアーマットを雑にプチプチ潰すがごとく破壊していく爽快感も『ガンヘッド』ならでは。「このステージ、この場面でどれだけスコアを加算できるか」といったことに熱くなれる作りは、伊達にハドソン全国キャラバン(1989年開催の第5回)の公式ソフトではない……といったところか。
現在のプレイ環境としては、コナミデジタルエンタテインメントが2020年にリリースしたリバイバルゲーム機『PCエンジン mini』が、もっとも現実的かもしれない。収録タイトルこそ海外版の『BLAZING LAZERS』だが、ゲーム内容はほぼ同じだ。
■悪夢的世界を旅するシューティングの元祖?『ジノーグ』
続いて紹介するのは、1991年にメサイヤがメガドライブでリリースした『ジノーグ』。背中に翼を生やした天使のようなキャラクターを操作して、悪しき野望を持つモンスターたちを撃ち滅ぼしていく横スクロールシューティングだ。
3タイプのメインショットをアイテムで切り替えたりパワーアップさせたりしつつ、弾数制限はあるものの強力な“魔法”をここぞという時に発動して難所を切り抜ける……というのが、大まかなゲームプレイ。
各ステージの道中が長いのは、当時のコンシューマオリジナルシューティングゲーム“あるある“として、ラスタースクロール(ビデオ信号の仕組みを利用した、なめらかなスクロール表示機能)を駆使した「おおっ」と驚く演出が要所に用意されていたり、敵の攻撃の激しさの緩急がついていたりと、同時代の作品と比較しても丁寧な作りであることは間違いない。
そんなシューティングゲームとしての良作評価が吹き飛ぶほどに強烈なのが、本作のビジュアル世界。ぱっと見はよくあるダーク路線だが、ボス格の敵キャラのデザインがどことなく……否、あからさまに常軌を逸しているのだ。
“機関車と同化したおっさん”、“頭に帆船を乗せた巨大なおっさんの顔”なんかはほんの序の口。臓器をむき出しにしているヒト型の生命体や、デザイン・動きともに性的なイメージに直結する禍々しい異形物まで、まさに悪夢的なキャラクターが次から次へと登場するのだ!
本作は2025年現在、国内の各種現行プラットフォームでプレイ可能。これから入手するのであれば、同メーカーが1992年にリリースしたまったく別スタイルのメガトライブ用シューティング『グレイランサー』との2in1パック(ダウンロード専売)を購入するのがお得だ。