■3DCGによる製作に感じた手応え

――最初から3DCGには勝算を感じていたのですか?
重田 制作がスタートしたときは本当に「大丈夫かな、これ」って感じでしたね。
福田 重田さん、最初はテンションが低くて。でも、やっていくうちにどんどん楽しくなってきているのかなと思っていました(笑)。
重田 自分が絵を描くのではなくて、人にお願いして描いてもらう(画面を作ってもらう)ことは難しくもあり、別の面白さもありましたね。
――ムック『機動戦士ガンダムSEED FREEDOMメカニック&ワールド』に掲載された重田さんのインタビューでは、学生のころにテレビシリーズの『機動戦士ガンダムSEED』を観ていた3DCGスタッフが、「『SEED』というものはこうなんだと思い込んでカットを作っている」という話がありました。
重田 今回の劇場作品が「SEEDシリーズ」の流れの中にある作品だから、過去の作品のアクションシーンを参考にして同じようなアクションシーンを作ってきてくれるんですよ。我々よりも18年前に「SEEDシリーズ」の視聴者だった彼らのほうがそれぞれのアクションを熱心に観ていて、説明しなくても「SEEDのアクションはこんな感じですよね」と彼らなりの「答え」を持ってくるんですよ。
福田さんや自分としては、今回はテレビシリーズとは違う演出で画面を作りたいんだと思っていても、3DCGスタッフがテレビシリーズのコピーのようなアクションを作ってきて「『SEED』はこうじゃないんですか?」となったりして、これはかなりギャップがあるんだなと感じましたね。
福田 だからといって、絵コンテをそのまま3DCGの画面に置き換えられるのも困るんですよね。ガンプラを撮影しているようになってしまう。ちゃんと空間をイメージしたうえでカメラ位置を決めてもらえれば良いんだけど。
重田 幸いにして、今回の現場スタッフは、どうすれば作画アニメーション的な画面が作れるのか知りたいという気持ちを持っている方が多かったので、最初は勉強会のようなかたちでスタッフにアクションのレイアウトや動かし方をみんなで学んでもらうことができたのも良かったかなと思います。それもあって、中盤からはCGスタッフがずいぶんと前向きに面白がってやってくれるようになりましたね。
――そうして、今回の3DCGのアクションができあがったんですね。
福田 これまでは3DCGのアクションってあまり評価されていなかったんですよね。でも『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』はちゃんと評価してもらえた。それはとても嬉しかったことです。


■書籍情報
書名:『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM メカニック&ワールド』
定価:2,200円(本体2,000円)
判型:A4判
発行:双葉社
https://www.futabasha.co.jp/book/97845754655940000000