『ガンダムSEED FREEDOM』は「予想以上の反響」、福田己津央監督×重田智氏が語る「大ヒットの裏側」の画像
映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』メインビジュアル (C)創通・サンライズ

 公開から1年が過ぎても、その熱は冷めやらない。ロボットアニメの金字塔を打ち立てた、映画『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM(以下、『SEED FREEDOM』)』。2024年1月に全国353館で劇場公開された本作は空前のヒットを記録した。24年9月から公開された特別版上映をあわせると動員300万人、興行収入50億円を突破。『SEED FREEDOM』は、これまでのガンダムシリーズの劇場版作品で歴代最高興行収入を記録したことになった。

 12月にはBlu-ray&4K UHD-BD&DVDを発売。そして2025年2月には『SEED FREEDOM』のメカデザインや世界観を取りまとめたムック『機動戦士ガンダムSEED FREEDOMメカニック&ワールド』(双葉社)が発売された。

 この書籍の発売を記念して『機動戦士ガンダムSEED』シリーズを手がけた福田己津央監督と、メカニカルアニメーションディレクターの重田智さんの対談が実現。

 まずは『SEED FREEDOM』の公開を終えたふたりに今の気持ちと、テレビシリーズ『機動戦士ガンダムSEED』『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』から約18年を経ての続編『SEED FREEDOM』の公開に至った際の思いを語っていただいた。

【第1回/全3回】

■映画公開時に抱いた率直な感想

(左から)福田己津央監督、重田智さん 撮影/イシワタフミアキ

――『SEED FREEDOM』は公開後にとても高い評価を集めました。公開後に手ごたえを感じた瞬間はいつごろでしたか?

重田智さん(以下、重田) 作品が完成したあとに関係者向けの試写会があったんですけど、そのときは「できたのね」みたいな感じで全然手ごたえを感じていなかったんですよ。作り手が自信満々な作品ほど出来栄えが怪しい、みたいなこともあると思うんですけど(笑)。一生懸命やったとかは別にしても、お客さんが観てくださるまでは自分としては手ごたえがありませんでした。18年待ってくれていたお客さんがどんな反応をしてくださるのかも、蓋を開けてみるまではわかりませんでしたね。

福田己津央監督(以下、福田) 18年、お客さんをお待たせしていたというのもあったので、自分としては納得できるものを出したかったです。でも、制作の後半はスケジュールも厳しくなっていたので、公開初日はモヤッとした感じが残っていたんですよね。

重田 公開日が金曜日で、そこから土曜日、日曜日とお客さんの反響が見えてきて、それでようやく落ち着いた感じがありました。

福田 落ち着いたのは公開後しばらくしてから。公開記念舞台挨拶があって、そこでお客さんが喜んでくださっている姿を見ることができたんです。思った以上の反応をいただいて、それで大分落ち着きました。

重田 予想以上の反響だったので、自分はかえって不安に思ってしまいました。もちろん大きな反響をいただくだけでありがたかったですけれど。ガンプラ(『機動戦士ガンダム』シリーズのプラモデル)の売れ行きもすごかったようですよね。

福田 最終的な成績として、これまでの『機動戦士ガンダム』シリーズの劇場版作品と同じくらいの数字(興行収入)になれば御の字だよね、と思っていたんですよ。それ以上は望んでいなかったですし、それ以上になるとは思ってもいなかった。

――我々が確認している興行収入は50億円超。これまでの『ガンダム』シリーズの劇場版作品で歴代最高興行収入となりました。

福田 あまり数字にとらわれてしまうのは良くないことだと思うんだけど。ラッキーだったなと思っています。

重田 何回も観に行ってくださる方もいるようだし、本当にありがたいですね。

福田 こちらが考えていたことは映画公開するだけではなくて、作品として残すことでしたから、パッケージ版ではいろいろ手を入れて作品としてまとめられて良かったなと思います。

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