■18年ぶりの新作を作る上で変えたこと

――『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』から約18年を経ての新作『SEED FREEDOM』となるわけですが、今の時代にあわせて作品の内容や表現を変えた部分はありますか?
福田 ひとつの変化としては一部のキャラクターの髪の毛の色をグラデーションにしたんですよ。若干、平成から令和寄りのデザインになっています。
――キャラクターデザインに関しては令和寄りを意識されていたという感じですか?
福田 いや、そういうわけでもないです。最近は赤い瞳に青色のハイライトを入れる表現があったりするじゃないですか。ああいうのは個人的に好きじゃなくて。実際に、そんな色になるわけがないだろうと思ってしまうから。
重田 ああいう色使いは、イラスト的な面白さなんですよね。
福田 そういう色のキャラクターがいるとドラマを描いているときに、ドラマが壊れてしまうような気がするんです。ましてや私の立場だとそれをチェックで何回も見ることになるわけでしょう。それを考えると、自分の生理的に合わないものを画面に入れるのが我慢ならなくなってくるわけです。
――では、福田監督の美意識に沿った画面作りをしていくうえにおいては、福田監督の好みも加味したキャラクターデザインになっているわけですね。
福田 そのあたりは平井久司さん(キャラクターデザイン)がよくわかってくださっている。長年一緒にやってくれた方は、やはり信頼が置けますね。
――今回、新たなスタッフとご一緒したことで変えた点はありますか?
福田 さらに一点大きく変えたのは、やっぱりメカの3DCGですよね。これまでの『機動戦士ガンダムSEED』シリーズではアニメーターが手描きでメカを描いていました。今回の『SEED FREEDOM』ではメカを3DCGで表現することになって、3DCGならではのアクションを作りたいという思いがありました。
重田 渾身の力を振り絞って18年分の思いを作画で、と思ってはいたんですけれど、今回メカは3DCGでいくという方向で作品の企画が決まっていたようです。そこで自分も3DCGをメインに関わることになりました。でも最初は3DCGでどこまでSEED的な描写ができるのか、不安が大きかったですね。
――やはり手描きと3DCGでは印象が変わるものですか?
重田 言葉で伝えるのは難しいと思うんですが、時間をかけて作画したほうが良いとは思っているんです。ただ時間や作業コストをかければ3DCGもそれなりに見応えがあるものになるんですよ。自分は絵描きだから、これからも作画でメカを描いていきたいとは思うんですけど、現代のプロジェクトとして考えたときの方法論としては、これからは3Dを使うのが正解なんだろうなとも思っています。