■個性あふれるキャスト陣と世界観に引き込むナレーション、そして視聴者を鼓舞した力強い歌声!
「宇宙刑事シリーズ」といえば、熱いヒーローを演じたキャスト陣も忘れてはいけない。『ギャバン』の主人公・一条寺烈を演じた大葉健二さんは、ジャパン・アクション・クラブ(以降・JAC)に所属する、元スタントマン出身の俳優。高い身体能力を活かし、多くの迫力あるアクションを自ら演じていた。
ちなみに筆者にとって大葉さんといえば『バトルフィーバーJ』(1979年放映)のバトルケニア役でのワイルドなイメージが強く、乗馬クラブで働く朗らかな一条寺の姿とのギャップに驚いたものだ。
『シャリバン』の主人公・伊賀電を演じた渡洋史さんもJAC出身で、やはりアクション演技には定評があった。
また『ギャバン』では一条寺の行方不明の父の役柄をJACの創始者・千葉真一さんが演じた。子ども向けの特撮ヒーロー番組に、当時トップスター俳優だった千葉さんが出演したことは、今も語り継がれるほどの出来事だった。
そして『シャイダー』の主人公・沢村大役を演じた円谷浩さんは、円谷プロの創業者・円谷英二さんの孫である。『シャイダー』の脚本をすべて手がけた上原正三さんも、かつて円谷プロに所属していた脚本家で、沢村役に円谷さんを推薦した人物でもある。
沢村の設定を「訓練を終えて間もない見習い宇宙刑事」にしたことで、アクション俳優出身ではない円谷さんとともに、主人公の沢村を成長させるという意図も感じられた。
また、シリーズ三部作共通する部分として、視聴者を作品世界に引き込んだ政宗一成さんによるナレーションも大きな魅力だ。特に「主人公の変身時に敵が襲わないのはなぜか?」という誰もが抱く疑問に対し、「コンバットスーツを蒸着するタイムは、わずか0.05秒に過ぎない」と明快に答えてくれたセリフが忘れられない。
ほかにも「宇宙刑事シリーズ」のオープニングとエンディング曲も耳に残る名曲ばかり。担当したのは『戦闘メカ ザブングル』や『キン肉マン』などの主題歌を歌った串田アキラさんで、ヒーローの本質をまっすぐつづった歌詞と、串田さんの力強い歌声が作品に対する期待感を盛り上げてくれた。
こうして、当時まったく新しいヒーローとして誕生した「宇宙刑事シリーズ」。そして「メタルヒーローシリーズ」は、17年続いたものの1999年の放送を最後に終了。宇宙刑事たちの歴史も幕を閉じたかに思えた。
だが平成に入ってからも宇宙刑事たちは「スーパー戦隊」や「仮面ライダー」とのクロスオーバー作品でたびたび復活。今も日本を代表する“特撮ヒーロー”として愛され続けている。これからも、ふりむかず、ためらわず、宇宙刑事たちの雄姿を胸に刻みながら明日へダッシュしたいものである。