■明らかに不自然な「幻獣種」の存在

 数ある悪魔の実の中でも、とりわけ希少性が高いとされるのが「動物系幻獣種」の能力だ。単なる動物ではなく、神話や伝説などに登場する架空の生物に変身可能となる。

 白ひげ海賊団の1番隊隊長“不死鳥”マルコは、その異名の通り「フェニックス」へと変身し、いかなる傷を受けても青い炎とともに再生する能力を持つ。その珍しさについて、海軍大将の黄猿は「自然系よりもさらに希少」と表現していた。

 この幻獣種の存在もベガパンクの仮説を裏づける要素のひとつである。この世に存在しない架空の生物の能力を「悪魔の実」で実現しているためである。

 ただし『ワンピース』の世界には、魚人、巨人、ベガパンク自身が生成にかかわったドラゴンなども登場する。もしかすると架空の生物に思える「フェニックス」が、どこかに生息している可能性だってゼロではないが……。

 とはいえ「神」の名を冠した悪魔の実の例もあるので、やはり何らかの人間の意思が悪魔の実の能力に影響していると考えたほうが自然ではないだろうか。


 ワノ国編では、タイムスリップの能力を持つ「トキトキの実」の能力者が800年前から時を超えてきた。その頃から悪魔の実が存在していたのなら、現在の幻獣種を含めた悪魔の実は、はるか昔の人々が空想した産物なのかもしれない。

 物語は最終章に突入し、連載当初から重要なアイテムとして登場する「悪魔の実」も、その正体にかなり近づいてきた。ベガパンクの提唱した仮説が正しいのか、それともまったく別の真実が存在するのか……その正解が明かされる日を楽しみに待ちたい。

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