
誰かを愛する気持ちが強すぎてその気持ちが暴走し、常軌を逸したとんでもない言動を繰り出す「ヤンデレキャラ」。多くの人気漫画にもヤンデレキャラたちは登場しているが、愛が重すぎるがゆえの行き過ぎた行動は、読者たちをも圧倒してしまう。
漫画のなかでヤンデレキャラたちが見せつけた、あまりにも強烈すぎる愛情表現の数々を見ていこう。
※本記事には各作品の内容を含みます
■求められれば己の死すらいとわない危険な美女『ONE PIECE』ベビー5
1997年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が開始された、尾田栄一郎氏の『ONE PIECE』。
数々の魅力的なキャラクターたちが登場する本作において、一風変わった愛の捉え方で読者を唖然とさせたのが、ドンキホーテ海賊団の使用人・ベビー5だろう。長い黒髪にメイド服を身に纏う彼女は「ブキブキの実」の能力者で、自身の体を武器に変形させ戦う殺し屋でもある。
戦闘要員として実に頼もしいベビー5だが、実は、他人から頼まれたことを異常なほど断らない性格をしている。これは幼少期に母親から必要とされず、捨てられたことがきっかけとなっており、以降、彼女はどんな頼み事に対しても、“自分を必要とされている”と幸せを感じる性格になってしまったのだ。
そんな彼女の強烈な性格が顕著に表れたのが、八宝水軍の首領・サイとの一戦である。
はじめは互いの力を激突し合っていた両者だったが、ベビー5はサイが口走った「てめえの心臓を射抜いてやる!!」を「ハートを射止める」に、「おれについて来れるか!!?」を「おれについて来い」といったように都合良く変換し、求愛されていると勘違いしてしまう。
戦闘中でありながらサイに惚れてしまったベビー5は、彼が放った「死んでくれ!!」という冗談交じりの一言すら求められたのだと歓喜。そして満面の笑みを浮かべながら「それで役に立てるなら」と、自身のこめかみに銃口を突きつけ、喜んで自殺しようとしてしまうのだ。
なんとも不憫な境遇のベビー5ではあるが、一方でこの戦いを経てサイと良き関係を築けたことは、彼女にとって何よりの救いとなったのではないだろうか。
■己の愛を信じてやまないスタンド使いの女子高生『ジョジョの奇妙な冒険』山岸由花子
1986年より『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載が始まった、荒木飛呂彦氏の『ジョジョの奇妙な冒険』。本作は物語が展開するごとに主人公や舞台となる国、時代が入れ替わり、後世へと戦いの歴史が受け継がれていくバトル漫画だ。
ホラーテイストを取り入れた作風や、特殊能力・“スタンド”を駆使した頭脳戦など見どころの多い本作。なかでもそのヤンデレっぷりで読者を戦慄させたのが、第4部に登場する山岸由花子である。
由花子は第4部の主人公・東方仗助らが通うぶどうヶ丘高校の1年生で、ウェーブのかかった長い黒髪とどこか大人びた美しさを持つ女子高生だ。彼女はスタンドの使い手であり、その長い髪を自在に伸縮させて操る能力を持っていた。
そんな由花子は仗助の友人・広瀬康一に一目惚れ。登場直後に彼に告白したり、手編みのセーターや手作り弁当を作ってきたりとなかなか大胆なアプローチをする。
一見、恋に奮闘する健気な女子高生のようなのだが、実は思い込みが激しく、気に入らないことがあると一気に暴力的な一面をあらわにする由花子。康一に親切にする女子を“泥棒猫”呼ばわりをし、さらにスタンドを使ってその子の髪を燃やしたりと、康一への愛が徐々にエスカレートしていく。
その凶暴性を知った仗助たちは彼女を康一から遠ざけようと画策するのだが、ここでも思い込みの強さが災いし、由花子はなんと康一を誘拐・監禁。自身が理想とする“立派な男性”になってもらうよう、身勝手な教育プランをしかけていくのだった。
その内容はまさに常軌を逸したもので、問題を間違えると消しゴムや石鹸を食べさせられたり、電気椅子が用意されていたりと、彼女の暴走する愛を前に康一はただただ戦慄するのだった。