■ヒロイン増加でライバルや悲恋も? 結ばれないことで物語に余韻も
近年、放送された『SSSS.GRIDMAN』(2018年)や『勇気爆発バーンブレイバーン』(2024年)などの新作ロボアニメでは、キャラクターの男女比率にさほどの差はなく、主役以上に活躍するヒロインも当たり前のように見られる。
70年代中頃の作品では、『UFOロボ グレンダイザー』(1975年)の牧葉ひかるが素朴なヒロインであるのに対し、主人公のデューク・フリードの妹、グレース・マリア・フリードは派手な美少女ヒロインとして人気を博した。
さらに、デュークの元許嫁であるルビーナ王女は敵対するベガ大王の娘であり、悲恋要素が盛り込まれたヒロインとしてストーリーを彩った。
『超電磁マシーンボルテスV』(1977年)の岡めぐみをはじめ、複数メカが合体するチームではヒロイン=紅一点になりがちだが、前述のルビーナ王女や『闘将ダイモス』(1978年)のエリカなど、敵側からもヒロインが生まれるようになったのもこの時期だろう。
こうしてヒロインが増えることにより、主人公とは結ばれない、いわゆる“負けヒロイン”が登場しはじめる。
『超時空要塞マクロス』(1982年)で一条輝はメインビジュアルを占めたリン・ミンメイではなく年上の早瀬末沙を、『戦闘メカ ザブングル』(1982年)ではジロン・アモスはラグ・ウラロではなく傷ついたエルチ・カーゴを選んだ。同時期に同ジャンルで三角関係を描いていたのは面白い。
一方、『無敵鋼人ダイターン3』(1978年)は、ビューティーことビューティフル・タチバナと三条レイカのWヒロインが破嵐万丈の元を去り、『重戦機エルガイム』(1984年)でダバ・マイロードが選んだのは、献身的なファンネリア・アムやガウ・ハ・レッシーではなく、心が壊れた義妹である。
主人公がどのヒロインとも結ばれない、ある意味“アンハッピーエンド”であるものの、どちらも物語に余韻を残す名作であった。
ちなみに、ヒロインが増えたこの時期、『超時空要塞マクロス』、『超時空世紀オーガス』(1983年)から続く、“超時空シリーズ”第3弾『超時空騎団サザンクロス』(1984年)では、ロボアニメとしては初となる3人の女性主人公(ジャンヌ・フランセーズ、マリー・アンジェル、ラーナ・イザビア)が登場している。
ジャンヌを筆頭としたこの3人のヒロインは高い能力を持つ軍人なのだが、筆者は彼女たちが巻き起こす恋の騒動が好きだった。