■『ろくでなしBLUES』森田まさのりと『北斗の拳』原哲夫

 『ろくでなしBLUES』と『北斗の拳』はともに男性ファンを数多く獲得している漫画だ。この2つの作品は少年漫画のなかでも強烈なタッチの作画で、『北斗の拳』の作画担当の原氏のもとで森田氏がアシスタントをしていたと聞くと、妙に納得してしまう。

 森田氏は、上京して最初にアシスタントを担当したのが原氏だったと、『北斗の拳』生誕30周年記念のインタビュー企画「北斗語り」でアシスタント時代のエピソードを語っている。森田氏はラオウが昇天する回までアシスタントを務めていたそうで、「原先生の影響が、いちばんですね。僕の画風の原点ですよ。」と師匠への想いを語っている。

 トーク力抜群な森田氏から語られる原氏の姿や仕事への取り組み方などは非常に興味深く、“読者アンケート1位になれなかった週を覚えている”、“新入りのアシスタントにいきなり1ページ任せる”など、さすが超一流漫画家と唸らされる仰天のエピソード満載だった。 

 また40周年記念の際には、森田氏の直筆による祝賀イラストが「北斗の拳40周年大原画展 ー愛をとりもどせ!!ー」に寄稿された。ケンシロウとラオウがセンターマイクで漫才のようなやりとりをする姿が描かれており、森田氏の代表作の一つ『べしゃり暮らし』のテイストが活かされたイラストとなっていた。

 森田氏もいまや超人気漫画家で多忙な日々を送っている。そんな中でも30周年、40周年と師匠の特別企画に参加し続けることからも、ふたりの絆の強さがうかがえる。

 

 漫画家同士のつながりというのは、ファンにとっても嬉しいものだ。師弟の対談などを見ると、作品の裏話や作品への影響なども知ることができるために、「師弟関係」は見逃せないポイントである。

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