■人間への態度に変化!シビアな一面も…「第5シリーズ」
2007年から放送された第5シリーズ。本シリーズでは独自の設定も登場しているのだが、そのうちの一つが鬼太郎が何十年も少年の姿で生きているというもの。
長く生きているからこそどこか達観した部分を持つ本シリーズでの鬼太郎は、人間と妖怪の共存を望んでいる一方、妖怪たちの気持ちも無碍にしない。悪い人間に対しては容赦なく切り捨てるなど、シビアな一面も見られた。とはいえ、マイペースで女の子に弱い“親しみやすさ”は健在である。
そして相変わらず宿敵・ぬらりひょんは登場するのだが、本シリーズでは西洋妖怪たちの登場回数が多く、西洋妖怪のラスボス「バックベアード」の存在も大きくなっていた。
そんな第5シリーズで鬼太郎の声を務めたのは、高山みなみさんだ。クールな高山さんの声質は、これまでより少し大人びた第5シリーズの鬼太郎にぴったりだったように思う。
■妖怪・鬼太郎の集大成! 一線を画す「第6シリーズ」
2018年に放送が開始された第6シリーズは、アニメ『ゲゲゲの鬼太郎』の放送50周年を記念して制作された。鬼太郎役に抜擢されたのは、沢城みゆきさんだ。
レギュラーヒロインとして人間の少女・犬山まなが登場する本シリーズ。鬼太郎は寡黙でドライな面が目立っており、それまでの“親しみやすさ”は薄くなっている。
また、この第6シリーズは、原作者の水木さんが亡くなってから初めて作られたシリーズである。赤ん坊の頃に鬼太郎が「水木」という人間の青年に育てられたこと、水木さんが居住していた調布市が舞台であることなど、制作スタッフから水木さんへのリスペクトや愛が随所に見られるのも特徴で、原作ファンにとっては嬉しいところだろう。
前シリーズで一貫していた「妖怪と人間の共存」に関しても、「水木」への恩返しが行動理念となっていることが明かされており、人間側に立った正義のヒーローとしての鬼太郎像ではなく、原作らしい「妖怪・鬼太郎」の姿が描かれていた。
6シリーズにもわたり放送されてきたアニメ『ゲゲゲの鬼太郎』。初期作品では子どもが親しみやすい工夫が凝らされていたりと、その時代に合わせたアレンジが加えられていることが印象的だ。
作風が変わることで、コミカルだったりシリアスだったりと鬼太郎の性格にも変化があり、同じキャラクターとは思えないような描写もしばしばあった。だが、それもまた『ゲゲゲの鬼太郎』シリーズの魅力だと言えるだろう。
ぜひこの機会に、シリーズごとに変わる鬼太郎の性格に注目しながら、作品を振り返ってみてはいかがだろうか。