
2024年11月14日に発売されたHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』(スクウェア・エニックス)。本作は『ドラクエ』シリーズのなかでも、物語的に1、そして2へと続いていく「ロト三部作」の第一作にあたる作品である。
また、のちのシリーズにおいても、『ドラクエ11』で、この『3』とのつながりが示唆されたことが大きな話題となった。ここではあえて触れないが、HD-2D版『ドラクエ3』のエンディングにも、シリーズの大きな謎にかかわるヒントが示されていた。
ただ、HD-2D版『ドラクエ3』には、このエンディング以外にも過去作とのつながりを示していそうな部分がいくつも存在する。そんな注目のポイントを振り返りつつ、ロト三部作の魅力についても深堀りしていきたい。
※本記事にはHD-2D版『ドラゴンクエストIII そして伝説へ…』の核心部分の内容も含みます。
■『ドラクエ11』とのつながりを示唆?
『ドラクエ3』を代表する勇者専用の武器といえば、やはり「王者の剣」だろう。ラスボス「大魔王ゾーマ」がその存在を恐れ、3年もかけて粉々に砕いたとされる伝説の剣だ。
これまでの『ドラクエ3』では、「ドムドーラの町」で伝説の金属「オリハルコン」を入手したあと、「マイラの村」にいる道具屋にオリハルコンを売却すると、その道具屋の店主である刀鍛冶が鍛えた王者の剣が店頭に並ぶようになる。
だが、HD-2D版では王者の剣を復活させる方法がより複雑になっていた。オリハルコンを入手する方法は同じだが、その後「メルキドの町」で「折れた剣」を入手し、マイラの刀鍛冶が代々受け継いできたという「ガイアのハンマー」を「ジパング」で回収してくることで、王者の剣を修復してもらえるという流れになっている。
そして注目すべきは「ガイアのハンマー」というアイテムだ。実は『ドラクエ11』にもまったく同じ名称のハンマーが登場し、王者の剣と同じく勇者の専用装備で魔王を倒すために必要な「勇者のつるぎ」を鍛える際に必要なキーアイテムだった。
その勇者のつるぎを打ち直す場所は「ホムラの里」といい、どこか『ドラクエ3』のジパングに似た雰囲気が漂っていた。
この「ガイアのハンマー」が『ドラクエ3』に出てきたことで、『ドラクエ11』と『ドラクエ3』のつながりが、より強く示唆されたことになる。
■さりげない場所にも意味深なヒントが?
実はHD-2D版『ドラクエ3』には、ほかにも『ドラクエ11』とのつながりを匂わせる描写がある。主人公の家の本棚に意味深に置かれた緑と赤の本と、『ドラクエ11』のエンディングの描写との共通点が有名だが、実は『ドラクエ11』の世界である「ロトゼタシア」とのつながりを匂わせる箇所も存在した。
まずはアリアハンの城に飾られている「謎の地図」の存在だ。その地図は『ドラクエ3』の世界地図とは地形が異なり、もちろんアレフガルドの地図でもない。よく見ると、その地形は『ドラクエ11』の世界「ロトゼタシア」に酷似しているのだ。
また『ドラクエ3』で転職が行える「ダーマ神殿」でも、意味深なセリフを聞くことができる。神殿内にいるある人物は「言い伝えだと、このダーマは、とある武術を学ぶ修行僧たちのお里であり、寺院でもあったらしいわ」と語っている。
このセリフから連想されるのは、『ドラクエ11』に登場する寺院「ドゥルダ郷」だ。ドゥルダ郷は多くの僧たちが集まり、修行した場所だった。
先述した「王者の剣」の件も含めると、やはり「ドラクエ11→3」という流れはかなり濃厚といえるのではないだろうか。