
近年のアニメ界では、昭和に人気だった作品を「リメイク」し、話題を集めた作品が増えている。たとえば、高橋留美子さん原作の『うる星やつら』は1981年(昭和56年)にアニメ化されたが、令和に入った2022年と24年の二度に分けてリメイクされている。
1966年(昭和41年)に白黒アニメで放映開始された『おそ松くん』は、原作者・赤塚不二夫さんの生誕80周年記念として、2015年に『おそ松さん』が制作された。大人になった六つ子を描いた『おそ松さん』は女性ファンを中心に人気を集め、2025年夏には第4期が放映予定だ。
このように、リメイクによって再注目された昭和の作品は後を絶たない。もちろん、あらためて人気になったのは、昭和版アニメの魅力があってこそだろう。そこで今回は、リメイク作品の原点ともいえる「昭和版アニメ」の良さを振り返ってみたい。
※本記事には各作品の内容を含みます。
■劇中の実況にファンも納得! アニメ先行登場で人気を得たキャラクターも……『キャプテン翼』
高橋陽一さんが描くサッカー漫画『キャプテン翼』は、主人公の大空翼がライバルたちと切磋琢磨しながら成長していく物語。1981年(昭和56年)より『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載が始まり、2024年4月発売の『キャプテン翼マガジン』をもって、約43年続いた長期連載を終了させた。
1983年(昭和58年)に最初のテレビアニメが放映されると、当初のターゲットであった男子小学生だけでなく、多くの女性ファン層まで取り込んだ「キャプ翼(つば)ブーム」が巻き起こる。
平成に入ってからも、1994年に『キャプテン翼J』、2001年に『キャプテン翼』、2018年にテレビアニメ第4作となる『キャプテン翼シーズン1』が放映。令和を迎えた2023年にも『キャプテン翼シーズン2 ジュニアユース編』など、幾度となくリメイクされた。
そんな『キャプテン翼』ブームの火つけ役となった昭和版アニメでは、沖田浩之さんが歌った主題歌『燃えてヒーロー』もインパクトがあった。テンポが良く勢いあるメロディに、「蝶々サンバ」や「チャンバも走る」といった謎だらけの歌詞もクセになった。
そして「オフサイドトラップ」のような本格的なサッカー用語が飛び出したかと思うと、立花兄弟の「スカイラブハリケーン」のようなトンデモ必殺技が飛び交う展開も魅力。
また、昭和アニメで忘れられないのが、声優の村上明さんが担当した「実況アナウンサー」の存在だ。試合中の臨場感あふれる実況や状況説明は『キャプテン翼』ならではで、まさに昭和版アニメを盛り上げた影の功労者である。
さらに昭和版のアニメでは、原作漫画に先駆けて「アニメ先行登場」することで人気を獲得した海外選手たちが何人もいた。オリジナル劇場アニメ『キャプテン翼 ヨーロッパ大決戦』(1985年公開)では、原作漫画よりかなり早い段階で、ドイツJr.ユース代表「カール・ハインツ・シュナイダー」が登場し、ファンを魅了した。
同様にアルゼンチンJr.ユース代表「ファン・ディアス」などもアニメで認知され、原作登場の際も盛り上がることに。かくいう筆者も、彼らが登場した号の『週刊少年ジャンプ』は2冊買ったほどである。
こうしたキャラクターたちは昭和アニメ版で先に小学生として登場し、そのうえアニメオリジナルストーリー展開だったこともあって、原作との違いも楽しめた。