■最終決戦前、雪山で見せた二人の絆

 警察官として、そして五代の良き理解者として最後まで彼を支え続けた一条。「EPISODE48 空我」では、雪山で待つン・ダグバ・ゼバとの最終決戦に向かう五代と、それをギリギリまで見届ける一条の絆が描かれた。

 別れの間際、五代は一条に対し、自分が戦いの中で暴走し人類にとって脅威となるような事態が訪れた場合、変身ベルトの傷を撃ち抜いて止めてほしいと託す。五代は、己の最期を最も信頼する男に預けたのだ。

 一方で一条も、これまで胸に秘めていた思いを口にする。「こんな寄り道はさせたくなかった。君には冒険だけしていてほしかった」と。五代を戦いに巻き込んでしまったことへの後悔が滲む。そして「ここまで君を付き合わせてしまって……」と謝罪の言葉を言いかけたところで、五代が遮るように「ありがとうございました」と微笑み、続けて「俺、良かったと思っています。だって一条さんと会えたから」と笑顔で語る。

 この静かな雪山で交わされる別れのシーンは、これから迎える最終決戦の壮絶さを際立たせると同時に、これまで築き上げてきた二人の固い絆を象徴するものであった。

 その後、二人は静かにサムズアップを交わし、一条は五代の最後の変身を見届ける。そして五代は一人、最終決戦地へと向かうのであった。

 

 本作の最終回は、主人公・五代が不在という異例の回だった。事件が解決し長野へと帰る一条に、科学警察研究所の榎田ひかりが呟いた言葉が印象的だったので、最後に紹介したい。

 「五代君、なんですぐ冒険に行っちゃったんだろう? なんか未確認とは関係なく、普通のときの二人のコンビ見てみたかったな……」。

 この言葉は筆者を含めた多くの視聴者の想いを代弁しているようで、本作は本当に“五代雄介と一条薫の物語”だったのだと、あらためて思わされるものだった。

 戦いの中で生まれた二人の絆。それこそが『仮面ライダークウガ』という作品が25年経った今も愛され続ける理由のひとつなのだろう。

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