『ポケットモンスター赤・緑』小学生をゾッとさせた「トラウマ要素」 ホラー演出に“ふぶき”の恐怖、ポケモンずかんの意味深設定も…の画像
ゲームボーイソフト『ポケットモンスター赤』(ふたまん+編集部撮影) (C)1995 Nintendo/Creatures inc./GAME FREAK inc.
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 1996年2月27日に発売されたゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』。本作は大ヒットゲームとなり、『ポケモン』はカードゲームやアニメも含め、今なお新作が作られ続ける巨大コンテンツとなった。

 発売当時、小学生だった筆者にとっても思い出深いゲームであり、周りの友達はみんな赤か緑のどちらかを持っていた。放課後には公園や誰かの家に集まり、交換や対戦を楽しんだものだ。

 ただしこの『ポケモン赤・緑』には小学生にとって、いや大人にとっても頭を抱えるような仕様やイベントがいくつかあった。今回はそんな『ポケモン赤・緑』のトラウマ要素を振り返っていきたい。

※本記事にはゲーム『ポケットモンスター 赤・緑』の内容を含みます

■シオンタウンと慰霊塔・ポケモンタワー

 『ポケモン赤・緑』のトラウマ要素と聞いて「シオンタウン」を思い出さないプレイヤーはいないだろう。ここはホラー要素満載の町である。

 長い「イワヤマトンネル」を抜けてやっとシオンタウンにたどり着いたと思った瞬間、BGMが切り替わり、不気味で物悲しい音楽が鳴り始める。異様な雰囲気を感じつつ町の人に話しかけると、「あなた ゆうれいは いると おもう?」などとプレイヤーをビビらせる発言をしてくる。

 探索を続ける中、ポケモン礼拝塔といわれる「ポケモンタワー」に入ると異様な数のお墓が立ち並んでいるが、これらは死んでしまったポケモンたちのものだという。おまけにタワー内で遭遇する「きとうし」は奇声を上げてプレイヤーに戦いを挑んでくるが、勝つと悪霊に取り憑かれていたような発言をする。

 こうして恐怖心を少しずつ煽られながらタワー内を進んでいくと、明らかに他のポケモンとは異なる「ゆうれい」という敵にエンカウント。「タチサレ……タチサレ……」というセリフと不気味な姿に、町に入ったときから感じていた恐怖心はピークに達する。

 ここでは逃げることしかできず、「シルフスコープ」という特別なアイテムを使うことで、「ゆうれい」の正体を見破れる。その正体は「ガラガラ」というポケモンだが、捕獲はできないので倒すしかない。そして倒した後には「ゆうれいのしょうたいは…… カラカラの おかあさんの まよえる たましい だった!」というメッセージが出てきて、その正体が本物の幽霊だったと判明する。

 このガラガラは、高く売れると言われる、頭にかぶった「骨」を狙われ、悪の組織「ロケット団」に殺されてしまったのだという。最後まで悲しみに満ちたイベントだった。筆者も小学生ながらに、ゲームではあまり描写されない「モンスターの死」と「人間の悪意」について考えさせられたのを覚えている。

■こおりづけの恐怖

 ポケモンの世界では、「状態異常」が『ポケモン赤・緑』の時代から存在している。その中でも特に凶悪だったのが、「こおり」状態だ。この状態になると一切行動できず、しかも基本的に自然治癒しないため、「戦闘不能」に等しい状態となる。

 救いは『ポケモン赤・緑』では「こおり」状態にしてくる敵が多くないことだが、ポケモン恒例のラスボスと言える「ポケモンリーグ四天王」の一人である「カンナ」はこおりタイプのポケモン使い。どのポケモンも耐久力があり手強いが、特に切り札である「ラプラス」はステータスが高いだけでなく、「こおり」状態にしてくる「ふぶき」を使ってくる。

 この「ふぶき」の現在の仕様は「威力110、命中70、こおり状態を10%の確率で起こす」という仕様だが、『ポケモン赤・緑』の時代は「威力120、命中90、こおり状態30%」と恐ろしい性能を誇っていた。

 小学生だった筆者はカンナにどうしても勝てず、しかもカンナの部屋でレポートを書いてしまい(つまりセーブしてしまい)、“詰んだ”記憶がある。RPGにおけるレベル上げと状態異常への備えの重要性を学ばせてもらったが、いまだにふぶきのトラウマは消えていない。

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