■「私は宇宙戦艦ヤマト、初代艦長・沖田十三である」

 他に、絶対に死んだと思われたキャラが長い時間を経て再登場する例で欠かせないのが、『宇宙戦艦ヤマト』の沖田十三艦長だ。長い宇宙での旅も終わりに近づき、沖田艦長が「地球か……何もかも皆、懐かしい……」とつぶやき静かに息を引き取るのは、作中屈指の名場面として有名だ。

 その後、映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』では彼が地球を救った功績を讃え、「英雄の丘」に銅像が建てられたほどだった。

 しかし、1983年の劇場版『宇宙戦艦ヤマト 完結編』において、沖田艦長は突然、「私は宇宙戦艦ヤマト、初代艦長・沖田十三である。ただ今よりヤマトは出撃準備に入る。総員、配置につけ! 重ねて言う。ヤマトは出撃準備に入る。総員、配置につけ!」と艦内放送で命令を下す形で再登場を果たす。

 彼の死は間違いようのない状況に見えたが、軍医である佐渡酒造先生いわく、「わしの誤診でな……」だそうで、あの時点では実はまだ完全な脳死には至っておらず、地球帰還後に治療が行われ成功したとのことだ。後世に受け継がれる名シーンがまさかの早とちり。つい「そんなことある?」と言いたくなってしまう、誰もが驚いた復活劇だろう。

 また、『機動戦士ガンダムSEED』のムウ・ラ・フラガも見事に死を覆したひとりだ。地球連合軍のエースパイロットである彼は物語の途中で、ドミニオンの艦砲射撃から恋人を守り戦死する。宇宙空間にはヘルメットの残骸が漂っており、『ガンダム』の作風から考えてもその死は確実なもののように思えた。

 しかし続編となる『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』では、記憶操作を受け、ネオ・ロアノークとして再度登場することとなる。罪を犯したものの、最終的には記憶を取り戻し恋人と幸せなハッピーエンドを迎えられた彼は、かなり幸福だったといえるだろう。

 死亡フラグどころか死そのものを覆して華麗な再登場を果たした彼ら。制作の都合もあるのかもしれないが、どのみちかなり運が良かったようだ。

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