テレビアニメ『ドラゴンボールZ』の続編として制作された『ドラゴンボールGT』。アニメオリジナルのパラレルワールド的ストーリーが魅力だが、その性質上、原作ファンからは賛否が分かれる作品でもある。
かく言う筆者も一度視聴したのち、しばらく距離を置いていた。だが、あらためて見返してみると原作ファンにこそ響く要素が随所にちりばめられていることに気づく。とくに物語の最終章となる「七匹の邪悪龍編」は、シリーズの集大成とも言えるストーリーであった。
今回は『ドラゴンボールGT』最終章「七匹の邪悪龍編(アニメコミックスでは「邪神龍編」)」を振り返りながら、登場するラスボス・邪悪龍について解説していきたい。
※本記事には作品の核心部分の内容を含みます
■ドラゴンボールの副作用?「邪悪龍」とは
最終章「七匹の邪悪龍編」は、前の章「究極の人造人間編」で死んだクリリンを生き返らせるため、さらには破壊された街や自然を元に戻すため、悟空たちが再びドラゴンボールを集めるという展開で始まる。
しかし、集めた7つのドラゴンボールにはひびが入っており、そこからは神龍ではなく、なんとも不穏な“黒煙の龍”が出現するのだった。
実はドラゴンボールには、願いを叶えるたびにボール内にマイナスエネルギーが蓄積される隠された性質があった。
通常は100年ほどの歳月をかけてこのマイナスエネルギーを浄化するのだが、しかし、ブルマという一人の少女が“ドラゴンレーダー”というとんでもない道具を発明してしまったため、悟空たちは30年足らずの間に何度もドラゴンボールを使うことに。そしていよいよ限界に達したドラゴンボールが誕生させたのが、この“黒煙の龍”「邪悪龍」だった。
悟空とブルマの出会い、そして作中ドラゴンボールで叶えた願い事の数々が、邪悪龍の誕生につながっていたと思うとなんとも感慨深い。
■七匹の邪悪龍、それぞれの個性
誕生した邪悪龍は「お前たち人間の言いなりにはならん」と言い放ち、ドラゴンボールを飲み込んで“七匹の邪悪龍”に分裂。世界中に散らばっていく。
その邪悪龍たちにはそれぞれ個性があった。たとえば、六星龍(リュウシンロン)は、ウーロンの“ギャルのパンティおくれ”という願いから誕生。その女性的で可愛らしい外見と、「くだらない願いを叶えおって!」と悟空を説教する場面が印象的だ。
また、四星龍(スーシンロン)はピッコロ大魔王の“若返りたい”という願いから生まれた火属性の邪悪龍である。正々堂々と悟空と戦うことを好む四星龍は、悟飯じいちゃんの形見である四星球から生まれた背景も含め、ファン心をくすぐられる。
その他の邪悪龍も、それぞれが異なる姿、性格、能力を持ち、そして何よりそのすべてがこれまで作中でドラゴンボールで叶えられた願い事から誕生しているという、過去の思い出も蘇る面白い仕掛けになっていた。