矢沢あい『NANA』や小花美穂『パートナー』にも…予想外の展開に驚き、少女漫画・重要キャラたちの「突然の死」の画像
コンプリートDVD-BOX『NANA-ナナ-』第1巻(バップ)(C)矢沢漫画制作所/集英社・VAP・マッドハウス・NTV

 少女漫画にはキャラクターの突然の死によって、登場人物のみならず、読者をも驚かせるエピソードがたびたび登場する。

 たとえば、1975年に『なかよし』(講談社)で連載が開始された名作少女漫画『キャンディ♡キャンディ』。孤児院で育った前向きで明るい主人公の少女・キャンディをはじめ、多くの魅力的なキャラが登場する本作だが、なかでも序盤に登場する少年・アンソニーの落馬事故による唐突な死は、当時の読者に大きな驚きを与えた。

 今回は、そのほかにもある予想外の“早すぎる死”が衝撃的だった少女漫画のキャラクターを見ていこう。

 

※本記事には各作品の内容を含みます

 

■薬物に蝕まれながらも恋人への思いは変わらず…『NANA』本城蓮

 2000年より『Cookie』(集英社)にて連載が始まった、矢沢あい氏の『NANAーナナー』。生まれも育ちも違うが、同じ名前の「小松奈々」と「大崎ナナ」という2人の女性を主人公に、夢と現実の狭間で揺れる彼女たちの人生を描いた物語だ。

 魅力的なキャラクターたち、そして作中に登場するファッションやインテリア、ブランドといったハイセンスな造形も素晴らしく、その高い人気から一代ムーブメントを巻き起こした。

 そんな本作において、唐突な死によって読者に衝撃を与えたキャラクターといえば、主人公の一人・ナナの恋人である本城蓮だろう。

 蓮はナナが所属しているバンド「BLACK STONES」の元メンバーで、その後は新たなバンド「TRAPNEST」にてギター、作曲担当として活躍していた。

 イカつい見た目に反して温厚な蓮だが、かつて手を出してしまった薬物による依存症に苦しんでおり、禁断症状のせいでギターを弾くことも困難になってしまう。

 そんな彼に薬物への依存を断ち切る時間を与えるため、バンド仲間の芹澤レイラが唐突に帰郷してしまうのだが、その責任を感じたことで蓮はレイラを連れ戻そうと奔走。

 雪が降りしきるなか自ら車を走らせる蓮だったが、彼はその道中で交通事故を起こしてしまい、急逝することとなった。

 奇しくも彼が亡くなった日は恋人であるナナの誕生日前日で、事故を起こした車のなかには、彼女への誕生日プレゼントが用意されていた。

 蓮の死を受け入れることができないナナと同じく、そのあまりにも悲劇的な最期を前に、呆然としてしまった読者は多かった。死の間際まで恋人・ナナのことを想っていた蓮の優しさを前に、思わず「幸せになってほしかった」と悔しくなってしまうエピソードだ。

■最後まで勇敢に戦い続けた頼もしき朱雀七星士…『ふしぎ遊戯』柳宿

 1992年から『少女コミック』(現『Sho-Comi』小学館)1号より連載された渡瀬悠宇氏の『ふしぎ遊戯』は、異世界へと迷い込んだ中学生たちが巫女となり、世界を守るための壮大な戦いへ巻き込まれていくファンタジー恋愛漫画だ。

 本作で突然の死によって衝撃を与えたのが、朱雀七星士の一人・柳宿(ぬりこ)である。

 柳宿は快活な性格で、後宮で働く女官として登場したが、実はその正体は男性。子どものころ、妹の死を受け入れられず妹と同じ服装をしている彼は、面倒見のいい性格と身につけた怪力が特徴的なキャラクターだ。

 柳宿は主人公・夕城美朱と徐々に友情をはぐくみ、男として彼女を意識するようになっていく。だが、最終的には彼女が想いを寄せる鬼宿との仲を応援するなど、良き相談役としても頼られていた。

 そんな彼に悲劇が訪れたのは、神座宝が納められていた黒山でのこと。しんがりを務めていた柳宿は美朱らを守るため、たった一人で青龍七星士の一人・尾宿との戦いに臨む。致命傷を負いつつもなんとかその場を守り切った柳宿だったが、最期に自身の力を振り絞り、山の入り口を塞いでいた大きな岩をどけたのちに事切れてしまうのだ。

 戦いの直前、髪を切ることで自身の過去と決別を果たした柳宿。まさかその直後にこんなに悲劇的な別れが待っているとは、読者も予想だにしなかっただろう。

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