■愛を求め愛に死んでいったダークヒロイン!『仮面ライダードライブ』の馬場ふみかさん
最後は、2014年10月から放送されていた『仮面ライダードライブ』より、最終盤に描かれた「メディック」の最期を振り返りたい。同作は、元エリート刑事のライダー・泊進ノ介(竹内涼真さん)を主人公に、シリーズ初となる刑事ドラマの要素を取り入れた作品となっている。
キャストの中で注目を集めた一人が、同作でドラマデビューを果たした馬場ふみかさんだ。今期放送の読売テレビ・日本テレビ系ドラマ『私の知らない私』でミステリアスな役を務める彼女が『ドライブ』で演じていたのはキュートなダークヒロイン、ロイミュード009の人間態・メディック。黒のゴスロリ風衣装を身に纏いお嬢様言葉を使い、治癒・修復能力で仲間をサポートする「ロイミュードの女神」である。
ロイミュード002のハートに対して強い愛情と尊敬の念を抱く一方、治癒の際に相手の心が流れ込んでしまうせいで邪悪な感情に支配され、ハート以外には非道な一面を見せることも。特に同じ敵幹部チームのロイミュード003のブレンとは犬猿の仲だった。
超進化を望んでいたメディックは、自身のコピー元・羽鳥美鈴を通じてハートへの忠誠心、すなわち「愛」が自身のベースになっていることに気づき超進化を遂げるも、蛮野天十郎によって操り人形にされてしまう。そんな彼女を救ったのはブレンだった。だが彼は、自らを犠牲にしてメディックを洗脳から解くと、消滅してしまう。
ブレンもまた自分と同じくハートへの愛を軸に生きていたことを知ったメディックは、蛮野への復讐に燃え、ドライブとハートとともにラスボスの破壊に向かう。敵と味方が共闘する熱い展開である。
浄化されたメディックはこれまでの行いを悔いると、絶体絶命のピンチに陥ったドライブを前に、「私の体なんか……どうなってもいいから!」と命を犠牲にし、かつての白い衣装で彼を治癒した。
そして、ドライブの腕の中で「今なら分かる……ブレンの気持ち」と呟き、涙を一筋流し、「ハートさまとあなたの勝利を信じています……ごきげんよう」と笑顔を見せて命を落とす。
メディックは、最後の最後に愛の真髄を知り、愛する人と人間のために散った。いわゆる敵幹部の怪人キャラであるもののかわいらしい容姿で序盤から人気があった彼女。終盤に向けて人間味を手に入れて散ったメディックの最期は、視聴者の心を大いに震わせた。
特撮作品は通常のドラマと違い、特殊な撮影も多いジャンルだ。しかし石田さん、仲間さん、馬場さんは、見事に役柄を演じきり存在感を残している。これからも、彼女たちのように特撮作品からフレッシュな女優が登場していくだろう。