数多くの人気漫画作品を生み出している『週刊少年ジャンプ』(集英社)。「友情・努力・勝利」をスローガンとする多種多様なジャンルの漫画が掲載されている本誌だが、ときにはあまりにも強烈な描写が登場し読者を戦慄させてしまう場面も存在する。
そこで、一度見たら忘れることができない、ジャンプ作品の壮絶なトラウマシーンの数々を見ていこう。
■復讐劇に利用された主人公のパートナー…『ジョジョの奇妙な冒険』
『ジョジョの奇妙な冒険』は、スタイリッシュなポージングや奇抜なキャラクターデザイン、“波紋”や“スタンド”といった特殊能力の駆け引きなど、作者・荒木飛呂彦氏のセンスが光る個性的な能力バトル作品だ。
数々の衝撃的な描写が飛び出す本作だが、すべての始まりとなった第1部の序盤、思わず読者が目を背けてしまいたくなる凄惨なシーンが登場している。
第1部は、主人公であるジョナサン・ジョースターの家にのちに宿敵となるディオ・ブランドーが養子としてやってくるところから始まる。名門のジョースター家を乗っ取ろうと画策するディオはあの手この手で嫌がらせを企て、ジョナサンを疲弊させていく。
ジョナサンの怒りが限界を迎え、ついに2人は直接的な殴り合いの喧嘩まで繰り広げることに。はじめこそ優位に立っていたディオだったが、ジョナサンの思わぬ精神力に圧倒され、彼に殴られた屈辱から涙まで流してしまう。
この喧嘩はジョナサンの父が割って入ったことでうやむやになってしまったのだが、ディオの怒りはおさまらず、彼は思いもよらぬ逆襲を企てる。
なんとディオはジョナサンが飼っていた愛犬・ダニーを生きたまま焼却炉のなかに入れ、焼き殺してしまうのだ。口を針金で縛られ、鳴き声すらあげられない状態で木箱に入れられ、ほかのゴミとともに炎に包まれた……。
気付いた使用人が急いで炉の扉を開けるも、時すでに遅し。火だるまになりながら飛び出してきたダニーは針金を引きちぎり、苦痛の悲鳴をあげ、死んでしまうのだった。
生きながらにしてその身を焼かれたダニーの苦痛を想像するとともに、自身の手は汚さず、他人に火をつけさせて復讐を遂行したディオの凶悪な一面にも戦慄してしまうトラウマシーンだ。
■頼もしき1級呪術師の悲しすぎる最期…『呪術廻戦』
芥見下々氏の『呪術廻戦』は、現代に生きる呪術師たちが繰り広げる壮絶な戦いを描いたバトル漫画だ。2024年にはシリーズ累計発行部数が1億部を突破した大人気作品で、白熱のバトル展開はもちろん、“呪い”をテーマにしていることから凄惨なシーンも多く見られる本作。
数々の衝撃的なシーンがあるなかで、多くのファンの心に焼き付いているトラウマシーンといえば、1級呪術師・七海建人の最期ではないだろうか。
呪術高専東京校のOBである七海は凄腕の呪術師で、その高い実力を駆使し「渋谷事変」でも数々の強敵と渡り合った人物だ。
そんな七海だが、特級呪霊・漏瑚との戦いのさなか、体の半分を焼かれる重傷を負ってしまう。意識が朦朧とするなか、それでも彼は渋谷駅構内に残っていた改造人間たちに立ち向かい、傷を負いながらもひたすらに戦い続けた。
体の半分が焼け焦げたまま精神力のみで戦い続けた七海だったが、奮闘むなしく、最期は特級呪霊・真人によって上半身を弾き飛ばされ絶命してしまう。
半身を焼かれた痛々しい姿もさることながら、戦いを終えたあとの人生を夢見ていた彼が粉々にされる救いのない展開には言葉を失ってしまう。
壮絶な死に様が描かれた七海だったが、死の間際に主人公・虎杖悠仁に「後は頼みます」と思いを託せたことは、彼にとって救いとなったのかもしれない。