幽助と螢子、桑原と雪菜、飛影と軀も…冨樫義博の恋愛描写の妙 『幽☆遊☆白書』の「その後が気になる2人」の画像
『幽☆遊☆白書』25th Anniversary Blu-ray BOX 霊界探偵編(バンダイナムコアーツ)

 90年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)にて連載された、冨樫義博氏の『幽☆遊☆白書』。本作と言えば激しいバトルシーンや個性豊かなキャラクターたちが魅力だが、忘れてはならないのが恋愛描写だろう。コミカルさと切なさが入り混じるそれぞれの恋愛模様は、本作において物語に深みを与える重要な要素であった。

 今回は、作中で描かれた「その後が気になる2人」4組を紹介する。それぞれの絆やドラマチックな展開を振り返りつつ、恋愛描写の妙に迫ってみたい。

 

※本記事には作品の内容を含みます

 

■主人公と幼馴染の王道カップル「浦飯幽助と雪村螢子」

 本作のベストカップルといえば、やはり主人公・浦飯幽助とその幼馴染・雪村螢子だろう。

 霊体の幽助がさまざまな事件を解決する「霊界死闘編」においても、螢子が燃え盛る家から仮死状態の幽助を運び出したり、逆に不良に連れ去られた螢子を1日復活中の幽助が助けたり、最終的には螢子の“口うつし”の儀式によって幽助が復活したりと、序盤からアツアツぶりを見せつけていた。

 物語終盤、コミックス第17巻「魔界統一トーナメント編」において、幽助が「ちょうど3年したら戻ってくる 約束するよ そしたら… 結婚しよう」と、実はプロポーズも済ませている2人。その後、幽助は1年半と予定よりも早く人間界に帰ってきており、作中では結婚こそしなかったものの、互いに一途な性格である2人だ。その関係は盤石だろう。

 考えてみると、幽助の妖怪遺伝子上の父・雷禅も1人の人間の女性に惚れたことをきっかけに、死ぬまで人間を口にしなかったという一途な妖怪であった。周りからそっくりだと言われる幽助は、そんな雷禅の性格も受け継いでいるのかもしれない?

■一方通行? 異種族恋愛「桑原和真と雪菜」

 次に紹介するのは、桑原和真と雪菜のカップルだ。幽助以上にわかりやすく雪菜にぞっこんの桑原。

 コミックス6巻「霊界探偵編」において、宝石商・垂金権造に囚われる雪菜を一目見た時から恋に落ち、以降一途に想いを寄せ続けた。

 一方で、雪菜は兄・飛影(雪菜本人は兄とは知らない)への関心が強く、桑原への明確な恋愛感情の描写が少ない点が、このカップルの特徴と言えるだろう。

 そして雪菜の氷女の一族は“異種族と交わると男性側の性質をもった忌み子が生まれる”という設定があり(その性質で雪菜の母が生んだのが飛影だった)、この点も2人の将来を考えると気になるところだ。仮に彼らに子どもが生まれた場合、雪菜似ではなく桑原そっくりの男の子が誕生するということだろうか……。

 ともあれ、物語が終わる時点で雪菜は桑原家にホームスティすることになり、ひとつ屋根の下で暮らしている。2人の恋愛はどうなったのだろうか。思わず“その後”を知りたくなってしまうカップルだ。

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