ファミコン時代、特に初期の作品にはとにかく難しいゲームが多かった。ファミコン自体のスペックの問題もあり、親切設計にすることが困難だった事情もあるだろう。また、一本数千円するソフトを頻繁に購入してもらえる家庭も少なかった時代。子どもたちにできるだけ長く遊んでもらおうとゲームを難しくしていたスタッフの思いもあったのかもしれない。
最近はレトロブームもあって、ファミコン時代の名作を再び手に取る人も増えた。そんなファミコン時代の難しかったソフトを、大人になった今改めてプレイしたらどうなのだろうか? 今回は筆者が実際に当時の“激ムズ”ゲームをプレイして、その難しさを再検証してみた。
なお、今回の挑戦は移植版などではなく、現役で可動する「ツインファミコン」を使用し、当時のファミコン版ソフトをプレイしている。
■明らかに上級者向けに作られた『マリオ2』
まずは、1986年に任天堂からディスクシステムで発売された『スーパーマリオブラザーズ2』。前作の『スーパーマリオブラザーズ』をクリアした人に向けて作られた「上級者仕様」の作品で、現在でも『Nintendo Switch Online』でプレイ可能なタイトルだ。
小学生時代には筆者もクリアできず、周りにクリアした人がいるという話も聞かなかった超難関ソフトだ。だが、同作は初手から何をどう動けばいいのか分からないような理不尽なムズゲーではなく、テクニックを身につければクリアできるようになっている。大人になった今なら、なんとかリベンジ可能なのではないだろうか。
さっそくプレイしてみる。ワールド1-1の序盤から“無限1UP”できる仕様となっているのだが、これはやはり難易度が高すぎて、無限増殖によって残機を増やさないとクリアできないためなのだろう。
序盤でやり直しがききやすく、うまくいくまでリセットを繰り返し、マリオを99人以上まで増やしてからスタート。なお、本作ではマリオより高くジャンプできる(が、スリップしてしまう)ルイージも選択できるが、ルイージの操作性はどうも筆者には合わなかった。
いざ進んでいくと、小学生当時には難しかったBダッシュジャンプを駆使するステージが序盤から登場する。だが多少難しいかなという程度でステージ3まで進むことができた。
ステージ3-4の城ステージは『マリオ1』にも存在した無限ループのステージで、正しい道を選ばないと同じルートを延々と繰り返してしまう。だが、どうしてもチビマリオでないと正しいルートを通れない場所があり、「これはさすがにスタッフのミスじゃないか?」とも思った。途中パワーアップアイテムがないため、最終的にチビマリオでしかクッパに挑めないのが辛いところだった。
子ども時代にプレイした経験があっても、やはり細かい部分は覚えていないもの。そのため、途中からやむを得ず攻略情報をネット検索しながらクリアしていったが、残機も着実に減っていた。
特に困難だったのがステージ7。強風が吹くステージという前作にはなかったステージで、特に7-3では強風の中、スーパージャンプ台を駆使して狭い足場を渡っていかなければならず、タイミングが非常に難しい。慣れればなんてことはないのだろうが、何度マリオを落下させたかわからないぐらいだった。
意外に楽だったのが各ステージボスのクッパ戦。ハンマーを投げてくるクッパは火を吐かないので、ハンマーの内側に入ってしまえば、クッパがジャンプするタイミングで簡単にくぐり抜けることができた。
ステージ8は曲者ステージがそろっていたが、ネットの攻略情報があれば操作はそれほど難しくなく、クリアも容易だった。だが、ラストの8-4が苦しい。
しゃがみジャンプしながら下に降りるとか、ダミークッパが現れるとか、いろいろなトラップがあり、攻略情報があっても苦戦を強いられるのだ。
ファイアマリオでクッパに挑戦できたためなんとかクリアすることができた。残機も20機ほどは残ったので上出来ではなかろうか。
そして同作では、1-1から8-4までワープを使わずにクリアすると「ステージ9」に進むことができる。これは、電源を入れたままファミコン『テニス』(任天堂)のカセットと差し替えるバグ技によって出現すると噂されていた『マリオ1』の裏技を再現したもので、説明書にもその存在がほのめかされている「裏面」。たどりついた先では1機のマリオのみチャンスが与えられているのだ。
だが、ここまできた段階で難易度はそれほど高くなく、水中面でミスってチビマリオになってしまったが、なんとか一発クリアすることができた。
小学生時代はとうてい拝めなかった、ラスト9-4の「アリガトウ」の文字は生で見ると感動である。