■絶望の道を歩まされた『NARUTO』うちはオビト
岸本斉史氏による『NARUTO-ナルト-』の敵キャラであるうちはオビトの過去もかなり悲惨だ。もともとオビトは、カカシやリンといった同期とともに木ノ葉隠れの里を守る忍のひとりだった。
いつか火影になるのを目標に、ライバルであり友人であるカカシ、密かに恋心を寄せていたリンと日々修行や任務に励んでいたオビト。その時の彼は、希望に満ちた明るい未来を思い描いていたはずだ……。
しかし、ある日の任務中に岩に押し潰され、瀕死の状態となったことでオビトの命運が変わる。周りには死亡したと思われていたが運よく生き延びたオビトは、マダラのアジトに匿われ、傷を癒やしつつカカシたちとの再会を願う。そのためだけに、つらいリハビリにも耐えることができていた。
ある程度回復してきた頃、カカシたちのピンチを知らされて彼らのもとへ向かったオビト。そこで彼はあり得ない場面を目の当たりにする……。
なんと、カカシが「雷切」でリンの体を貫いて殺していたのだ。このショッキングな光景にオビトは感情を爆発させ、側にいた邪魔な敵を皆殺しにしてしまう。
実はカカシがリンを殺した(というより、殺さざるをえなかった)のには複雑な背景があり、そこにはオビトを闇堕ちさせるためのマダラの企みがあった。その目論見通りにオビトは世界に絶望して、マダラの計画に沿って動かされることになってしまった。
オビトはカカシとリンを生きるための心の支えにしていただけに、彼らを一度に失った衝撃は大きかっただろう。その境遇があまりにも凄惨すぎて、思わず感情移入してしまいそうになった……。
闇堕ちキャラは、なりたくて悪者になったわけではない。その背後には複雑で壮絶すぎる理由があり、中には数々の悪行を忘れて同情してしまうほどのキャラもいる。
もし道が違えば、彼らが主人公サイドで活躍する姿が見られたかもしれない……。